『覆面作家は二人いる』(北村薫)読み終わり
先週は,涙あり,感動ありの浅田次郎ものを読んで少々疲れたので,今週はお気軽な小説を読んでいます。
まずは,北村薫の『覆面作家は二人いる』から。
北村薫は,おいらが好きな作家ではベスト5に入ります(いや3かも)。「時と人3部作」の『スキップ』,『ターン』(『リセット』はまだ読んでないのだ・・・)や,『空飛ぶ馬』に始まる「円紫さんと私」シリーズは特に好きで,書棚に眠りながらも,年に何回かは引っ張り出して読んでいます。
どの小説も,とても丁寧な文章で,暖かい言葉使い。身の回りにおこるちょっとしたこと(でないこともあるけど)を題材に,上質なミステリに仕立てあります。
でも,トリックや犯人探しはちっともメインではなく,登場人物の心情をとっっても丁寧に書くことで,人間の悲しさや,逆に暖かさを描きます。
と,先週の浅田次郎週間のように持ち上げてはいますが,今回読んだ,「覆面作家シリーズ」は,もうちょっとお気軽な小説シリーズです。
世田谷の豪邸に住む深窓のご令嬢と,彼女の小説デビューを担当することになった編集者を巡る数々のお話。
お嬢様は,一歩門を出る(のも大変なくらいでかい家なんだけど)と,腕っ節の良い名探偵に生まれ変わって,身の回りで起きる事件をバッサバッサと解決してしまう。このお嬢様の変身ぶりが面白く,ついつい読み進んでしまいました。
1話目は,北村薫にしては珍しく,「身の回りで起きる事件」がいきなり殺人だったりして驚いたけど,他の2話はいつもどおり,日常で起きたちょっとした事件を主題に話は展開します。
まぁ,まったく肩に力の入らない,そう,赤川次郎の数々の小説のような感じです。会社で疲れたり,浅田次郎で疲れたりした後には,北村薫の「覆面作家シリーズ」はちょうど良かったです。
今度は,同じ北村薫でも,もっともっと感動した「時と人3部作」の最終作,『ターン』を読もう! (分厚いんだよな……)
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