土肥志穂 『人はなぜツール・ド・フランスに魅せられるのか』
D70が入院中なので,しばらく読書関係のエントリが続きます(多分)。
未整理の写真も貯まっているのですが,実は読書関係のネタも山積み状態。小説やビジネス本(たまには読んでいるのだ)もあるのですが,今日は,またもツール・ド・フランス関係の本から。
この本は,現代,比較的最近のツール・ド・フランスを中心に,その魅力を紹介した本です。著者である土肥志穂さんは,何十年も前からの自転車バカというわけではなく,数年前にツール・ド・フランスを実際に見に行ってから,すっかりその虜になってしまったようです。
では,なぜ,一度見ただけで虜になってしまうのか? それが,まさにこの本のタイトル「人はなぜツール・ド・フランスに魅せられるのか」なのだと思います。
この本も,チームのエースだけでなく,アシストや大会関係者などの活躍ぶり描かれていて,少しツールが好きな人が読むと,一気に大好きになれると思われます。
ただ,今現在,ツールにあまり興味が無い人が読むと,この本を読んだだけではツールの虜にはなれないだろうなぁ,とも思ってしまいます。自分が猛烈に魅せられている,虜になっていることはよく分かるのですが,なぜそうなのか,ツールはなぜこんなにも魅力的なのか,までは完全には伝わり切ってない気がします。
先日紹介した,『ツール100話』に比べてしまうと,どうしても人に訴えるパワーが不足しているような気がします。
「100話」の方は淡々と100年の歴史を描いているだけなのにツールの魅力がいやでも伝わってきます。
一方で,「この魅力をみんなに分かってもらいたい!」という本書はツールの仕組みや選手の役割なんかはわかるのですが,「なぜ魅せられるのか」はなかなか伝わってこないのだから,作家というのはなかなか難しい職業です。
もっとも,「100話」のような純粋な歴史書みたいなものを読んで萌えてしまう,おいらの方が少し変なのかもしれませんし(^^;),この本の小ささ(「100話」の半分?)で,エースなどの「花形」以外の,ツールを支える人たちの活躍が書かれているのは評価できます。おいらは,フレチャとマキュアンが好きになってしまいました(笑)
それにしても,「自分が楽しいと思うことを人に伝えるの」は,本当に大変なことです。日々,いかに自転車が楽しく,また,カメラという趣味が素晴らしいかを奥さまに説いているのですが,その10%も伝えられないもどかしさを感じている,おいらならでは(?)の読書感想でした(笑)
(追伸)
数ある,「自分が楽しいと思うこと」の中で最も人に伝えるのが困難なものの一つに,ヒルクライムがあるような気がします。ダウンヒルはすぐに分かってもらえると思いますが,坂道をゼーハーゼーハーしながら上ることの楽しさは,なかなか分かってもらえない。「この世から下り坂が無くなったら,どれだけシアワセだろう」と願うのですが,この願いもなかなか理解してもらえません(笑)
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