[ヒヤリハット] 新春大型ヒヤリハット(後編: ホイール全損危機)

1件古い記事([ヒヤリハット] 新春大型ヒヤリハット(前編: ハンドルバー全損危機))

前編で予告した通り,後編では超恐ろしいヒヤリハットを紹介します。

ごく普通の,後ろから見たRDやスプロケですが・・・?

ごく普通の,後ろから見たRDやスプロケですが・・・?

Nikon D600 + Nikkor Micro 60mm F2.8

前編(ハンドルバー全損の危機)が霞んでしまうような,巨大ヒヤリハットとはいったい・・・?

事件はローラー台の上で

昨年11月に片付けてしまった我が家のローラー台。

「どうせ本格的に走り出すのは春だし」と思って片付けたのですが,事情が変わってきました。

おいらのヒルクライム仲間の方々が,日々,ハードなローラー台トレーニングに励んでいる姿を,Facebookで良く見かけるのです。

最初のうちは「頑張ってるな~♪」程度で眺めていたのですが,連日,毎夜,ハードなトレーニング姿が紹介されると,少し焦ってきました。

というわけで,例年よりも少し早く,新年4日からのローラー台トレーニングを再開することにしました。

さぁ,新年初のローラー台だ!

さぁ,新年初のローラー台だ!

Panasonic LUMIX GM1 + G VARIO 12-32mm F3.5-5.6

とりあえずは固定ローラー台から始めてみたのですが,回し始めてすぐに,リアホイールから異音が発生していることに気が付きました。

結構大きな音で,「カン,カカカン,カン・・・」というようにスポークに何かが当たっているような音がするのです。

すぐに自転車から降り,まず疑ったのはスピードセンサー用のマグネット。

実走行用のホイール(Shamal,MV32T,F4R)は,いずれもマグネットの小型軽量化工事が完了しているのですが,ローラー台用ホイールはCatEyeのでっかいマグネットのままになっているので,こいつが,Edge810Jのスピードセンサーと接触しているのではないかと疑いました。

しかし,マグネットとセンサー間のクリアランスは十分にあり,接触はしていないことが分かりました。

そこで,ローラー負荷を最低にして,ペダルを手で漕いでみると・・・,すぐに異音の原因が判明。

げっ,RDのケージとスポークが接触している! な,なんで~!?

げっ,RDのケージとスポークが接触している! な,なんで~!?

Nikon D600 + Nikkor Micro 60mm F2.8

なんと,リアディレイラー(RD)のケージが,スポークと接触していたのです!!

な,なんで~!?

フォトポタ研究所の検証委員会が始動!

久しぶりに登場のフォトポタ研究所。

今回は,急遽召集された検証委員会の全メンバー(おいら一人)によって,なぜRDのケージがスポークに接触していたのかを解明します。

まず,リアディレイラーを左右から手でグイグイ押してみたのですが,僅かながら「ガタ」があることが分かりました。

その様子を収めた動画が一般公開されています。

ほんの僅かですが,ディレイラハンガーが左右にブレているのが分かるでしょうか。

ということは,ディレイラハンガーの固定ボルト(595号は2.5mmの六角ボルト2本)が緩んでいることが疑われます。

固定ボルトはRDに隠れてアクセスできないので,まずRDを外し,ディレイラハンガーの様子を調べてみることにしました。

力がかかる部分じゃないので,小さなボルトで固定されています。

力がかかる部分じゃないので,小さなボルトで固定されています。

Nikon D600 + Nikkor Micro 60mm F2.8

ハンガーの固定ボルトを弄ってみると,案の定,2本あるボルトのうち,1本が緩んでいました。

当該ボルトは小さく細く,あまり大きなトルクをかけられなさそうなので,緩み止め(タイロック)を塗って固定することにしました。(LOOKのマニュアルにはこの辺のことは全然書いてない。規定トルクも・・・)

せっかくなので,2本のボルトともにタイロックを塗ることにして,ボルトを外したのですが,今度は・・・

左が取り外したハンガー,右が新品のハンガー。その差は歴然。

左が取り外したハンガー,右が新品のハンガー。その差は歴然。

Nikon D600 + Nikkor Micro 60mm F2.8

ディレイラハンガーが曲がっていました。

フレームに装着した状態では分かりにくいですが,真っ直ぐなハンガーと比べれば,その歪みは一目瞭然。

また,過度な力が加わったときに曲がる部分(=溝)を良く見ると塗装が皺模様になっていて,歪んでいることを物語っています。

曲がった部分で,塗装にひび割れ(皺)が出ています。

曲がった部分で,塗装にひび割れ(皺)が出ています。

Nikon D600 + Nikkor Micro 60mm F2.8

これら一連の調査結果から,検証委員会は以下の結論を導き出しました。

  1. RDに,外部からの大きな衝撃が複数回加わった
  2. 衝撃によって,ディレイラハンガーが歪んだ
  3. 衝撃によって,ディレイラハンガーの固定ボルトが緩んだ
  4. 歪んだディレイラハンガーによって,RDとスポークの間隔が狭まり接触するようになった

さらに,なぜ「外部からの大きな衝撃が複数回加わったのか」については,わざわざ検証委員会が検討するまでも無いので,渋谷駅前の通行人100人にアンケートをとったところ,100人が「Shiroが自転車を何度も倒したから」と回答しました。

その通りです・・・。

595号の写真を撮るときは,いつも右を向けて撮りますから(普通,そうですよね),倒れるときはいつも,自転車の右側になるのです。

何度も何度も倒していたので,その都度,RDにも大きな衝撃が加わっていたのでしょう。

良く見たら,RD本体にもあちこち傷が付いていました(涙)

よく見ると,RD各部にもいろんな傷が・・・。

よく見ると,RD各部にもいろんな傷が・・・。

Nikon D600 + Nikkor Micro 60mm F2.8

ポカばっかりのおいらですが,そのことは良く自覚していて,595号を購入した際に,予備にディレイラハンガーを3個同時購入していました(1個2000円)。

実は組み上げ直後に曲げてしまったことがあり,今回で2個目です。

5年で,4個のうち2個がダメになってしまったハンガー・・・。

5年で,4個のうち2個がダメになってしまったハンガー・・・。

Nikon D600 + Nikkor Micro 60mm F2.8

フレーム付属品を含めて4個もあったのに,たった5年で2個もダメにしてしまうとは・・・。

595号の寿命もあと5年か!?(涙)


超巨大ヒヤリハット

怖い,怖いと煽ったわりには,「転倒でハンガーが歪んで,RDがスポークと接触していた」だけなので,拍子抜けされた方もいるかもしれません。

しかし,おいらには忘れようにも忘れられない,「5.15の悲劇」の記憶があります。

リアのスプロケを越えてスポーク側に落ちたチェーンが原因で,最愛のヒルクライミングホイール,Reynolds MV32Tを失っているのです。

今回の事象では,ローに入れない限り,RDとスポークの接触は無いため,仮に実走行で接触したとしても走行速度は10km/hとか,その程度だと思われます。

が,「5.15の悲劇」こそローギアで発生しているのです。

速度が低くても,デカイパワーが出せるローギアだからこそ,RDがスポークに巻きついてしまったような場合には,スポークを破断し,または,リムを破壊してもおかしくないと思われます。

こんな恐ろしいことが再現してしまうところでした・・・。

こんな恐ろしいことが再現してしまうところでした・・・。(他界したMV32Tの写真)

Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8

昨年5月15日にブッ壊してしまい,「FHCのために!」とツマに泣いて頼んで新調したFFWD F4Rを,たった半年でブッ壊してしまったら,おそらく家庭内でも何かがブッ壊れる( or ブチ切れる)のではないかと思われます。

いろんな意味で,本当に恐ろしかったです・・・。

今回のヒヤリハットの教訓は2つ

今回の,「ホイール全損未遂ヒヤリ」から学ぶべき教訓は2つ。

一つは,前編と同じく,自転車を倒さないこと。当たり前ですね(^^)

もう一つは,走行中に異変に気が付いたら必ず確認!ということです。

自転車を倒してしまったときは,自転車各部を良く確認するのは基本です(?)ので,よく見ているつもりでした。

しかし,ディレイラハンガーの歪みは,今回の経験で分かりましたが,その変位量はすごく小さく,目視で見つけるのはなかなか難しそうです。

たまたまローギアに入っていれば分かるかもしれませんが,そうでなければ,スポークとの距離は分かりにくいと思います。

しかし,今回は予兆がありました。

ツーリングからの帰り道,RDの調子がイマイチになり,自転車を停めてアジャスタで調整しなおしました。

その調整でビシっと決まるようになったのですが,良く考えれば,1年以上使っているワイヤで「初期伸び」なんかは無いですから,急にRDの調子が悪くなるなんてことはありえません。

ワイヤー関係ではなく,「RDに何かが起こったか?」と疑うべきでした。

過去のヒヤリハットでも,何度か学習したつもりでしたが,やはり,異常・異音が起きたときは良く確認するに尽きます。

目で見るだけじゃなく,手で押してみたり,軽く回してみたりも必要。

そこで一句。

気をつけろ 異常・異音の確認不足は 地獄への近道

全然,5・7・5になっていませんが,かまいません。

異常・異音を見逃して地獄へ落ちるよりマシです(笑)

新年早々の大型ヒヤリハットシリーズ(発生は昨年なんですけどネ)はこれでおしまいですが,今年の年末も笑って迎えられるよう,自転車を倒さず,異常を感じたらすぐに停まって確認する。

気をつけていきましょう!(^^)

おしまい。



(おまけ)なぜ走行中は接触しなかったか?

今回の事象(ハンガーが歪む)の発生がいつだったのかは正確には分からないのですが,595号を最後に倒した,三浦半島一周100kmライドのときだと推定しています。

我が家まで約60kmを残した地点でしたので,その後の60km,さらに年明けに走った30kmを加えると,最低でも90kmはディレイラハンガーが歪んだ状態で走っていたと思われます。

ではなぜ,実走行中にRDがスポークに接触するという最悪の事態は避けられたのでしょう?

それは,ローギアを使わなかったからです。

冬場にヒルクライムはやらず(脚が痛い)平地ばかり走っているので,ローギアを使う機会はほとんどありません。

ローラー台でローギアを使って,初めて接触したのです。

たったこれだけのこと(ローギアを使わない)で最悪の事態を避けられていたのであり,もし春先からのヒルクライム大好き状態のときであれば,早々に大事故を起こしていたのでは,と背筋が凍る思いです・・・。


■「ヒヤリ」カテゴリー内の前後記事
2015年01月07日 | カテゴリ:  ヒヤリ | ID: 11285
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