2014年2月~3月の読書記録
超久しぶりに読書紹介。
期間が長い分,自転車,カメラ,科学,小説と,満遍なく読んでいるようです(^^)
この期間に読んだ,主な本は以下の通りです(雑誌や薄い本は除く)。
著者 | プチ感想 |
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『夢のロードバイクが欲しい』 ロバート・ペン 評価:★★★ | 自分にとっての理想のロードバイク(速いだけじゃないし,もちろん,軽いだけじゃない)を作り上げるために,ヨーロッパを基点に,アメリカまで世界各地を回ってパーツを集めていくお話。 詳しくは後ほど(^^) |
『レースに勝つための 最強ロードバイクトレーニング』 高岡 亮寛 評価:★★★ | 今まで色んな自転車トレーニングの本を読んできましたが,多くの場合,「そんなに乗る時間無いよ・・・」という思いを抱いていました。 週末ですら乗れるか怪しいのに,「平日早朝に3時間乗ろう」なんてのは多くの(特に遠距離通勤の)サラリーマンには非現実的です。 そういう,時間制約の多い人でも練習の密度を上げれば練習はできる,ということを教えてくれる良書です。 機材関係はほとんど「趣味であって効果は無い」とばっさり切り捨てられていていい感じ(?)ですし,練習時間と強度の関係,モチベーション維持の方法など,各種トレーニングメニューに取り組む以前の問題から,いろいろ説明してくれて,とてもありがたい本でした。 あとは,自分でやるだけだ(^^) |
『理不尽な進化 :遺伝子と運のあいだ』 吉川 浩満 評価:★ | 生物の進化論についての(くそ長い)お話。 前半は,世の中の多くの人が間違って理解している「進化論もどき」(キリンは努力して首が長くなった,恐竜は適応力がなくて絶滅した,我が社の素晴らしいDNAの結晶を・・・など)を引き合いに出して,それでも,進化論が人気なのはなぜか,文系的な視点で分析するなど,なかなか面白いです。 また,「適者生存」の理屈で,適応できたものが素晴らしい,勝者であるという風に考えがちだけど,生物種の99%以上は絶滅してきたことから,「絶滅」に視点を置いて進化論を語るところも斬新で面白いです。 しかし・・・,いくらなんでも,文章が下手すぎるというか,長すぎです。文中,何度も「要するに」とか「繰り返すと」「ひとことで言うと」などの,社長や校長先生の長い挨拶を思わせる単語がたくさん登場し,実際,同じ話が延々と繰り返されるのは,さすがに読み進めるのが辛かったです。 分量を半分にしたら最高に楽しい進化論本だと思います。 |
『高校生からわかる「資本論」』 池上 彰 評価:★★★ | 長男(中3ですが)が図書館で借りてきて面白そうだったので,再度,おいらが借りなおして読みました。 おいらも学生時代に原著を読んだことがあるのですが,マルクス(というか,その時代)は,単純な主張をいかに難しく書くかに注力していたようで,原著は本当~に分かりにくく,まったく理解できませんでした(本当に1%も)。 その難解マルクスを,テレビでおなじみの池上彰さんが,まさに高校生でも分かりやすい文体で(しかも原著と併記して)説明してくれるので,とても理解しやすい。 労働とはなんなのか,資本とは。西側諸国は,なぜ共産主義を恐れ,そして,多くの共産主義社会は倒れていったのか。 そういった,普段はあんまり気にしていない,私たちの社会のあり方について思いを至らせることができる,なかなかの良書でした。 全般的に文体は丁寧なのですが,なぜか突然「だろう?」とか話し言葉になるのが不思議でしたが・・・? |
『オリンピックの身代金』 奥田英朗 評価:★★★ | 東京オリンピック開催直前,「アジア初のオリンピック」に,「一等国の仲間入り」に,日本中が夢中になっていた時代。 まだまだ地方は,電気や水道もなく,口減らしで奉公や出稼ぎが当たり前の,戦前並みの貧しい生活を送っている。東北の寒村出身の主人公は,東京大学という将来を約束されたエリートであるにも関わらず,社会の底辺で,劣悪な労働環境でオリンピックを支える飯場の人夫を体験し,社会に対する,東京に対する,支配階級に対する鬱屈した思いを抱くようになっていきます。 奥田英朗は『最悪』や『邪魔』などでも,徐々に追い詰められていく人たちを描くことが非常にうまいのですが,この小説でも本当にうまい。この小説を読んだ多くの人は,犯罪に手を染めようとしている(すでに染めているのですが)主人公に魅力を感じ,応援してしまうのではないかと思います。それくらい,良く描けているのです。 ちなみに,小説全体にマルクス・資本論が登場してきて,あまりの偶然に驚いたとともに,物語を読み進める支えにもなりました(^^) |
『SOSの猿』 伊坂幸太郎 評価:★★ | 『マリアビートル』を読んで,「二度と伊坂幸太郎は読まないぞ!」と決意したのですが,家の書棚を見たら,未読の伊坂幸太郎本がたくさんあったので(&ケチなので)読んでみました。 書評では評価が分かれているみたいですが,おいら個人としては「へぇ,こんなのも書くのね」と楽しく読めました(なんか,上から目線ですが・・・)。 他人のSOSを見逃すことができない男と,物事の真の原因を探る男の2人が主人公で,それぞれの話が平行して進んで行きます。 途中から,西遊記の孫悟空の話が絡んできてファンタジー色が出てきますが,それもほどほど。 生粋の伊坂ファンならば消化不良を起こすのかもしれませんが,おいらのようなライトなファンとしては,この適当さ,軽さが伊坂幸太郎なので,肩の力を抜いて読めて楽しかったです。 一番気に入ったのは,救急車がなぜ急ぐのかを聞いてきた幼児に対して「どこかでね,誰かが,痛い痛い,って泣いてるんだよ。 だから助けに行くんだよ」というところ。実はおいらも,救急車を見るたびにそう思っていたので,変に共感してしまいました(^^) |
『逆転の発想の写真の入門の本』 永山昌克 山口規子 大城譲司 評価:★☆ | 写真入門の本としてはとても珍しく,写真・カメラの仕組みをすべてイラストだけで説明されています。そこが(&そこだけが)本書の「売り」であり,たしかに,似たような小さな写真を並べて比較するより,多少誇張したイラストの方が分かりやすいこともあります。 しかし,書かれていることは,どこの写真本にも書いてある話なので,特に目新しさはなく,「ふ~ん」という読後感です。発想は面白いだけに,おしいなぁ・・・ |
夢のロードバイクが欲しい!
砲台(←いくらなんでも・・・)邦題は「夢のロードバイクが欲しい」ですが,本書の内容からすると全然適してなく,原題の「It's All About the Bike」が最適です。もっと単刀直入に書くなら「History of the Bike」でもいいくらい。
単に自転車パーツを買うだけなら,Wiggleでも良さそうなもんですが(笑),そうではなく,主要パーツの生産地(工場)まで旅して,その製造工程まで見学したりするのですから,本当に「夢」かもしれません。
でも,そこで終わりではありません。
この本は「最高のパーツ紹介」ではなくて,正直言って,「夢のバイク」を作る過程もそんなに重要ではなく,主に「ヨーロッパの自転車文化の発展の歴史」紹介です。
オーディナリー(前輪が巨大なアレね)や,ドライジーネからスタートして,いかにして現代の自転車のスタイルに辿り着いたのか,そういうお話が随所に出てきて,歴史好きにはとても面白いです。
なので,砲台(←これはワザと)邦題に誘われて買ってしまうと,「なんだ,どのパーツがいいのか分からないじゃないか!」とかなるかもしれません。
以前紹介した,「ツール100話」や「ロードバイク進化論」を好きで読めるような人にはとても楽しい本と思います(自分がそうです)。
いろいろな楽しい自転車の歴史やエピソードがあるのですが,おいらは,「人類は自転車という装置にによって,初めて脚力を使うことができた」というところに驚きました。
確かに,人類数千年の歴史の中で,人体最大の筋肉である「脚」を使う道具を思いつくまでに,ものすごい年月がかかったのですね。
「腕力」を使う機械や道具はすぐに発明されたのに,「脚力」を本格的に使うようになったのは,自転車が初めてであると。
メカラウロコでした(^^)
自転車歴史ファンにはオススメです。
(にしても,日本語版の帯文の「珠玉の物欲ストーリー」はいくらなんでも,犯罪レベルの誤訳では・・・?)
おいらにとっての「理想のロードバイク」(^^) できれば,前後同じホイールがいいけど・・・。
SONY DSC-RX100m2 + Carl Zeiss Vario Sonnar T* 10-37mm F1.8-4.9- ■「本」カテゴリー内の前後記事
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