『一瞬の光』(白石一文)
ちょっと前に読んだ,白石一文の「一瞬の光」について,急に思い出すところがあったので,書き留めてみました。
ちまちま読んでいたので,タイトルの「一瞬」とは裏腹に一週間もかかりました。
感想は,残念ながら,「む゛~」です。
全般的に,男本意の身勝手さ,こてこてな男の欲望が目立ちます。最初の数ページを読んで,「あ,これは男が書いた小説なんだなぁ」と思えてしまうのは,ちょっとなんだなぁ。
おいらは,どうしても主人公の「橋田」の人柄に魅力を感じられませんでした。
最高のルックス,超高学歴,超高収入,超エリート…,と,すべておいらと一致しているのですが(?),感情移入できませんでした。
橋田は,一人の女性(瑠偉)の心と体を貪りながら(特に話の後半),他の女性(香折)にも献身しようとします。
一見,優しい人なんだけども,主人公が捨てた瑠偉との関わりの中で彼女にし続けてきたことを思わずにはいられません。
数年という長きに渡り,一人の人間を,どのように無情に扱ってきたのか…。こういう扱いができる者が,他の人間にどのような献身ができるのか。
そういう思いが強いです。
ま,そう熱くならなくても,
「恋愛なんて,所詮そんなもの。別れて傷ついて強くなるもの」
と割り切れるのかもしれないですが,そうなら,そういう物語にすべきでしょうね。
あまりに瑠偉が軽く扱われています。
それを補うかのように,作者は彼女に対し,超美人,高学歴,高キャリア,裕福という設定をし,「通り過ぎるすべての男達が振り返る」などという,こてこてな表現を使って,瑠偉を幸せな人間,恵まれた人間に見せかけます。
でも,そんなものは彼女にとって何の役に立つんだろう?
あなたしかいない,あなたを全力で愛せる,幸せにする絶対の自信がある
と言う彼女に対して,彼は何をし続けてきたんだろう?と思うと,
なんだか,だんだん,腹が立ってきたな。プスプス…。
もっと,こう,一人の女性を本当に愛していて,幸せにしたいんだけど,どうしても救ってやらなければならない人がいて,それはたまたま女性だった。その狭間で悩み,最後には・・・,,というような設定にはできなかったのかなぁ?(あんまり変らないか・・・)
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