『薔薇盗人』(浅田次郎)読み終わりました
また,浅田次郎を読んでしまった。(もちろん,本ね)
読んだのは「薔薇盗人」。新潮文庫では初の浅田次郎の文庫本で,「あじさい心中」「死に賃」「奈落<」「佳人」「ひなまつり」「薔薇盗人」の6つの短編からなる短編集です。
まぁ,今更ですが,浅田次郎は短編集がとても得意なのだと思います。
おいらが読んだのだけでも,「鉄道員」,「霞町物語」,「椿姫」,「月のしずく」,「見知らぬ妻へ」,「霧笛荘夜話」などなど。どれも,短い中に,人生の哀切や意外性を持ち込んだ,目頭を熱くするいいお話が満載です。
「あじさい心中」,「ひなまつり」は,まさに浅田次郎がもっとも得意とするタイプの短編で,人生の悲哀と,そこから立ち直っていこうとする意志を感じる,いつもの浅田ワールドでした。とくに,あじさい心中はよかったなぁ。
「死に賃」も面白かった。会社一筋で冷徹な社長。その男が死に直面したときに,残されていたものはなんだったのか。そして,ずっと寄り添ってきた人の意外な一面。よかったです。
ほかの3編は,う~む,,どうかなぁ? いろんな書き方をしてみてはいるんだけども,短編という短さもあり,どれも掘り下げが少なく,「ふぅ~ん」という感じがしてしまいました。
同じ短編でも,「鉄道員」の「ラブレター」や「うらぼんえ」みたいに,「こんな短い小説なのに,この切なさはなんじゃ?」というショックはありませんでした。
という反省から(?),次回は「天国までの百マイル」を読む予定。
と言いつつ,ここ2日ほどは江國香織の「泣く大人」を読書中。やっぱり,江國香織はいいなぁ。あのドライさ,正確な言葉遣い,が好きです(もちろん,「デューク」が一番好きだす)。
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