『ツール・ド・フランスの百年史』

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演出上(笑),モノクロで撮ってしまっていますが,実際はカラーです。<br />写真はエディ・メルクス。

演出上(笑),モノクロで撮ってしまっていますが,実際はカラーです。
写真はエディ・メルクス。

Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D

我が家では残念ながらTDF(ツールドフランス)をリアルタイムで観戦できる環境ではないのですが,TDFに関する本だけは何冊か持っています。

これは,我が家の財政状況による制約のせいでありますが,おいらが「最新ネタ」よりも「歴史ネタ」が好きなことにも起因しています。

そんな,TDF歴史フェチとして是非読んでおきたかった本書ですが,ある日,心優しきAmazonさまが我が家にプレゼントしてくれました(その後,なぜか4000円口座引落がありましたが・・・笑)。

『ツール・ド・フランスの百年史』

今回,購入したのはの『ツール・ド・フランスの百年史』という本です。

自転車好きの方なら,数ヶ月前から書店で1~2冊は置いてあるのを見たことがあるのではないでしょうか。

そう,あの,座布団のように大きな,黄色い本です。

普通の単行本が文庫本に見えてしまうくらい,巨大な黄色座布団。

普通の単行本が文庫本に見えてしまうくらい,巨大な黄色座布団。

Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D

頑丈なブックケースに収められている上,ビニールでカバーまでされてしまっているので,立ち読みをすることができず,「いったい,どんな本なんだ?」と怪しんでいた,あの黄色い本です。

「ツール・ド・フランスの百年史」は,名前の通り,ほぼ100年前に始まったツールドフランスの歴史を紹介した本です。特徴的なのは,なんといっても,当時の参加証やコース地図,絵はがきなどの精巧なレプリカが大量に付いてきていることです。

あまりにもレプリカがたくさん入っているため,本全体がふくらんでいます(^^)

あまりにもレプリカがたくさん入っているため,本全体がふくらんでいます(^^)

Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D

レプリカはけっこう凝っていて,ちゃんと当時のものっぽく見えるように,汚れていたり,印刷が不鮮明になっていたり,紙質をあわせていたり,手が込んでいます。

レプリカは全部で40点ほどあり,本のいたる所に付いているポケットに収納されています。

1900年頃の参加者向けルールブック。最近のルールブックも付いています(^^)

1900年頃の参加者向けルールブック。最近のルールブックも付いています(^^)

Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D

このおまけレプリカのせいで,書店ではビニールにくるまれて中身が見られなくなってしまっています(開くとすぐにレプリカが落ちてきます)。



読んでみての感想

書かれているテキストの方は,ツールの黎明期から,イエロージャージの登場,ルートへのアルプス越え追加,チームプレー,自転車の進化,各年代におけるヒーローの紹介など,ほとんど漏れなく100年の歴史を楽しめるものです。

ただ,本のサイズの割にはテキスト量が少な目(写真が多い)なので,若干,説明不足なところは多々あります。

ほかのTDF歴史本を読んでいれば分かるのですが,そうでない場合には,理解しにくい箇所が散見されます。

たとえば,p.16では「クリストフの悲劇」が記載されています。ピレネー(ツルマレ峠)の下りでフォークを損傷したクリストフが,麓の鍛冶屋で2時間もかけて修理したのですが,鍛冶屋の息子が「ふいご」で吹いて手伝ったことで,ゴール後に3分のペナルティをくらう,という事件です。

説明はちょいと足りないけど,絵が豊富なのでその分,楽しかったりもします(^^)

説明はちょいと足りないけど,絵が豊富なのでその分,楽しかったりもします(^^)

Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D

しかし,「なぜ,鍛冶屋の子供がふいごを吹いただけでペナルティ」なのかは知らない人には分からないと思います。

この辺は,『本ブログ内の紹介記事へツール100話』には非常に細かく書かれています。
(異常なまでに「一人で走り抜くこと」にこだわったレースディレクターのデグランジュが,自転車を修理する際にも一切の手助けを認めなかったためです。パンクしたタイヤを外せなくて,タイヤに歯でかじりつくのも当たり前だったそうな・・・)。

一方で,写真やイラストがたくさん登場してきて,数多いレプリカもあわせると,当時の雰囲気というのが非常によくわかります。

1953年のルートマップ。ルイゾンボベが走っていたコースだ(!)

1953年のルートマップ。ルイゾンボベが走っていたコースだ(!)

Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
新聞記者がレースの興奮を伝えるために書いたメモ。

新聞記者がレースの興奮を伝えるために書いたメモ。

Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
後半はカラー写真も増えてきます。これは,グレッグレモンの活躍を描いた章。

後半はカラー写真も増えてきます。これは,グレッグレモンの活躍を描いた章。

Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D

事前に,『ツール100話』のような本を読んでから,本書に取りかかると,「お~,こういう感じだったんだ」と感動できることかと思います。

高い,でかい,風呂で読めない(レプリカが脱落する)など,取っつきにくい本書ですが,TDF歴史好きならば買って損はないでしょう。

なんと言っても,豊富なレプリカ達が魅力。家にTDF資料館ができた気がします(^^)

(参考)おまけのレプリカ一覧

レプリカは全部紙でできていますが,それぞれのブツに合わせて,薄っぺらい紙から分厚い絵はがきまで,いろいろと使い分けられる工夫がされています。

100周年記念切手(のレプリカ)!! すご~い!(^^)

100周年記念切手(のレプリカ)!! すご~い!(^^)

Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D

また,わざわざ「汚れ」や「印刷不良」などを再現しているため,なかなかいい感じに仕上がっています。歴史好きにはうれしい限りです(^^)


タカラモノ
1903ツール第4ステージで撮影された写真(3枚)
1900メディア公認証(ツール以外)
1921メディア公認証(ツール以外)
1900頃Elims Pierre社の自転車宣伝用絵はがき
1910ルールブック
1910ツール第9ステージに居た新聞記者の観戦メモ
1925完走証
1981絵はがき
1932アンドレ・ルデュックの勝利を歌った楽譜
不明ファウスト・コッピの漫画
1947ツールのために調達した物資の費用請求書
1955ライダー誓約書
1959ペヨスの漫画
1960絵はがき(藤田嗣治画)
1959絵はがき(ヴァン・ドンゲン画)
1959公式絵はがき(サルバドール・ダリ画)
1958公式ポストカード(デュフィが描いたアンクティル)
1961公式ポストカード(トレモアが描いたアンクティル)
1964ライダーのサイン入り絵はがき
1965ライダーのサイン入り絵はがき
1953ルートマップ
1985ツール50周年晩餐会のメニュー
1930キャラバン隊で配られた「お面」
不明キャラバン隊で配られた紙の帽子
2003公式ポスター
2003100周年記念切手シート!!
2007公式ポスター
2008公式ポスター
2009ルートマップ
2010ルートマップ

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ツール・ド・フランスの百年史
我が家をTDF博物館に!(^^)

2010年09月30日 | カテゴリ:  | ID: 9871
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