2014年10月~2015年1月の読書記録

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忘却はよりよき前進を生み出す

素晴らしい言葉ですね。ニワトリ並みに記憶力の乏しいおいらにとっては,まさに生きる希望です。ありがとう,ニーチェとかいう人!

さて,超久しぶりの月間読書記録です。ず~っと忘れてしまっていました。

どれくらい久しぶりかというと・・・,それも忘れました。

2014年10月~2015年1月の読書記録

いつごろから貯めちゃってたのかなぁ~,とフォトポタ日記の「本」カテゴリを見てみると,最後に更新したのは昨年の9月(!)

なんと,4ヶ月も更新をサボっていたようです。

しかし,ご安心ください(?)

この4ヶ月,特に後半2ヶ月はほとんど小説類を読んでいないので,4か月分という割にはこれしかありません。

著者プチ感想
誘拐ラプソディー (双葉文庫)
『誘拐ラプソディー』
荻原浩


評価:★★

金も家も何もなく,あるのは借金と前科だけという主人公(伊達秀吉という名前がすごい)が,人生に行き詰って自殺をしようとしたけど全然できなくて,半ばヤケクソで小学生を誘拐したところから始まる珍道中。

ノコノコ付いてきた小学生は,実は地元を牛耳るヤクザの親分の一人息子。それを知らずに,行き当たりばったりの誘拐劇が面白くて,笑えること必死,いや,必至です。

そんなに珍しいストーリーではないのですが,あちこちにちりばめられたギャグが面白く,電車で読んでいても泣きそうになるくらい。でも,ほんの少しだけ,本当にホロリとくるような挿話もあったりするので油断ができません。

そういえば,角田光代の『キッドナップツアー』も面白かったな~。

あの日にドライブ (光文社文庫)
『あの日にドライブ』
荻原浩


評価:★★

銀行員の主人公はムカつく上司に楯突いて銀行を辞職して,やむなくタクシードライバーになったのですが,銀行員だった頃のプライドが捨てられません。

今の自分は本当の自分じゃない」と周囲を見下し続けるのですが,日々のノルマは全然こなせないダメ社員状態。

そのうち,学生のころに付き合っていた彼女を偶然に見かけ,そこから「この子との付き合いを続けていたら・・・」「優しい妻とカワイイ子供が・・・」などと,空想の世界に入っていってしまいます。でも,あることに気が付いて主人公は・・・!というお話。

過去の「選ばなかった方の選択肢の自分」の妄想がちょっと長いのですが,その後は明るいエンディングに向けて急展開していきます。

それにしても,萩原浩は「上司とケンカして会社を辞める」主人公が多いような・・・?(^^)

神様からひと言 (光文社文庫)<
『神様からひと言』
荻原浩


評価:★★★

上司とけんかして辞職(またか!)し,再就職した次の会社でもリストラ職場に追い込まれ,日々,クレーム対応をしていく中で少しずつ成長していく主人公を描いた小説。

難しく考えることなく,単純に面白いエンターテイメント作品です。詳細は後ほど!(↓)

僕たちの戦争 (双葉文庫)
『僕たちの戦争』
荻原浩


評価:★★★

ひょんなことから,現代の若者(フリーター)と,太平洋戦争真っ最中の若者が入れ替わってしまう話。

当たり前ですが,両方とも最初は驚き・迷い・失望の繰り返しですが,徐々にその時代に溶け込んでいき,人を愛し,人を守る思いが高まっていく。ちょっと珍しい構造の戦争小説です。詳細は後ほど(↓)

純平、考え直せ
『順平,考え直せ』
奥田英朗


評価:★★

毎度の事ながら,またも全然違うタイプの小説を繰り出してくる奥田英朗。

ヤクザの親分から「鉄砲玉」に指名された主人公,順平は21歳のチンピラ。最初は,やっと認められた・目をかけてもらっていると浮かれていたけど,決行までの3日間に様々な人と出会い,誰もが直接・間接的に「鉄砲玉はやめな」と言ってくる。徐々に3日目が迫る中で順平の決心は・・・?という小説です。

表向きは明るく,歌舞伎町の誰からも愛されている順平だけれども,本当は孤独な21歳。その「孤独」の描き方がうまいなぁと思います。

ただ,順平の行動がネット(掲示板?)で話題になって,コメント合戦になっていくのは,ちょっとどうかなぁ?という感じ。「ネット住民は色々書いてくれるけど,結局は他人であって孤独に変わりは無い」ということを伝えたいのだと思うのですが,あまりに長くてちょっと残念。

3652―伊坂幸太郎エッセイ集
『3652-
伊坂幸太郎エッセイ集』
伊坂幸太郎


評価:★★

いつでも読めるし,今読まなくてもいい。暇があったら読むために置いてある,伊坂幸太郎のエッセイ集です。

長編小説でも重厚な感じにならない,軽妙な伊坂幸太郎ですから,エッセイ集はもっともっと軽い。でも,そこそこ面白いので,電車や風呂で読むにはちょうどいいです。

こだわりポートレート アイデアの引き出し (玄光社MOOK フォトテクニックデジタル)
『こだわりポートレート
アイデアの引き出し』
河野英喜
野澤亘伸
小澤太一


評価:★☆

音楽活動をしている友人にポートレートを頼まれることが多くなり,勉強中です。

アイドルやグラビア写真だけでなく,普通に友人や家族を撮るにも,ちょっとした工夫で見栄えが全然変わります。光の向き,ポージング,目線の方向,手の扱い方などなど。身近な人で試すと,驚かれ,感謝されること請け合いです。

ただ,おいらにはレベルが高すぎて,お役立ち度では以前購入した『ポートレートの悩みを解消する本』の方が数段上でした。

ポートレートAdobePhotoshopレタッチの教科書 (玄光社MOOK フォトテクニックデジタル)
『ポートレート
AdobePhotoshop
レタッチの教科書』
桐生 彩希


評価:★☆

デジタル写真を,そのまま印刷して素晴らしいできばえになることは,まずありません。

風景写真であれば,ホワイトバランスとコントラスト調整くらいで,大体カバーできると思うのですが,ポートレートになると,もうちょっと手間をかけた補正作業が必要なります。

たぶん,「風景」よりも「人物」に対して,私たちの視覚は鋭く発達していて,ほんの少しの色の違いでも見分けられるのだと思います。お札に肖像画が描かれることが多いように。

色んな補正テクニックが紹介されているのですが,イマイチ体系的でない(列挙されているだけ),Before・Afterの写真が小さすぎて差が分かりにくいのが難点です。

売れる写真の撮り方ルールブック (玄光社MOOK)
『売れる写真の
撮り方ルールブック』
ペイレスイメージズ


評価:★★

家庭内財政悪化により,自転車関係出費が極端に抑えられているShiro家。そこで,起死回生の景気回復策として,「フォトストックサービス」への登録をやり始めています。

風景や物撮り,ポートレートなどの写真を登録しておくと,それを気に入った人が購入した際に一定のロイヤリティーを貰えるサービスです。

まぁ,簡単に言えば「有料の写真素材集」であり,チラシや雑誌,新聞など広告で引用されることが多いのですが,なんせ手軽なので登録者数がハンパなく多くて,写真を買ってもらうのはなかなか大変です。

本書は「どのような写真が好まれるのか」を解説してくれますが,今まで撮ってきた写真(できれば人と違う写真が撮りたい!)とは真逆の発想(みんなが撮りたい写真)なので,メカラウロコばかりです。

ちなみに,戦果(?)は4ヶ月で24000円相当の写真が売れたのですが,ロイヤリティーは1000円ちょい。ハードルは高いですなぁ~




荻原浩プチブーム

昨年9月に読んだ『明日の記憶』がツボにはまり,一気に読み始めた荻原浩作品。

奥田英朗と似たようなテーマの作品もチラホラあって混同するときもあるのですが,とにかく楽しく読ませてもらっています。




この4か月で一番面白かったのは『神様からひと言』。

広告代理店を上司とのケンカで辞めて,再就職した食品会社。そこでも問題を起こしてしまい,「お客さま相談室」というリストラ要員職場に異動になる主人公。

先輩社員(ロクなのがいないんだけど)と,日々寄せられる,お客さまからの滅茶苦茶なクレームに対応しながら成長していきます。

全編がユーモア満載ですが,職場に乗り込んできたチンピラたちに対して「俺の名前は○○,逃げも隠れもせん! 住所は千葉県○○市・・・」と,キライな上司の名前と住所を叫んで啖呵を切るシーンは最高に笑ってしまいました。

単純に笑って,楽しめる,いい作品でした。



一方,今の自分たちの国に対して考えさせられたのは『僕たちの戦争』。

現代の若者と,太平洋戦争真っ最中の若者が,入れ替わってしまうという話。

もちろん,設定はフィクションですが,戦中から現代に飛んできてしまった若者が,今の(当時から見れば)乱れきってしまっている世の中を嘆くところは,考えさせられます。

まさに命を懸けて,命を散らして戦った人たちが,今の自分達を見てどう思うのか。


飢えに苦しんで,それでも戦地に赴く兵士にできる限りのことをして見送った人たちが,大量の食材が手も付けられずに捨てられていく現代をどう思うのか。

主人公の「これが,自分たちが命を捨てて守ろうとしている国の50年後の姿か・・・?」と嘆く言葉が胸に刺さります。

その一方で,でも,これが幸せな社会なのかもしれないという思いも抱くようになり,心が揺れていくさまも,うまく描かれています。


逆に,現代から戦中に飛んでしまった若者は,日々過酷な訓練や体罰(なんて生易しくはなく,出陣する前に死んでしまうことも・・・)を潜り抜けながらも,特攻兵器(回天)の搭乗員になっていきます。

「こんなの絶対に狂ってるって! おかしいよ! マジヤバイ!」と言いながらも,その時代の人たちと心を通わせ行く中で,どうしても逃げ出すことができない。

小説全体は,荻原浩らしくユーモアが随所にあって,決して暗くなることはないのですが,それでも,「戦争」や「今の日本」について考えさせられる,いい小説でした。

来月以降は・・・?

4ヶ月で小説5冊という,驚異的に少ない読書量となった理由は,写真に熱を上げすぎていたことと,メインの書斎である風呂場(笑)用に防水タブレット(SONY Experia Z3 Tablet Compact)を持ち込んでいたせいです。

2か月たってタブレットも飽きてきたので,もう大丈夫。

来月以降は,こんな本を読む予定です(オリンピックの身代金,まだ読んでないのかよ!笑)

  • 奥田英朗 『東京物語』『オリンピックの身代金』
  • 荻原浩 『コールドゲーム』
  • 伊坂幸太郎 『砂の王国』『PK』
  • 高岡亮寛『レースに勝つための最強ロードバイクトレーニング』

おしまい。


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2015年01月29日 | カテゴリ:  | ID: 11317
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