Jeffrey Zeldman “DESIGNING WITH WEB STANDARDS”

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PC関係の書籍を久しぶりに読みました。そして,感動しました(オーバー)。

現在,このブログはMovable Typeで作られています。そして,もちろん,HTML+CSS(Cascading Style Sheets)でデザインされています。でも,このブログを始めるまでは,CSSなんて「文字の大きさをポイントで指定できる」くらいしか知らなかったし,それしかしたことはありませんでした。

なぜなら,おいらがHTMLを初めて勉強したのは,本家「Shonan Life Report」を作った,今から3年くらい前。そのころには「WEB標準」なるものはおろか,どの入門書を読んでもテーブルレイアウト全盛で,「CSSは動かないブラウザが多いので使うのはやめましょう」と書かれていました。ですから,今でも本家のページは,ほとんど全部,テーブル&フレームによるレイアウトになっています。

それから3年。世の中は,おいらみたいな,仕事と育児の片手間にサイトを更新する平凡なサラリーマンを置いてけぼりにして,あっという間にHTML+CSS or XHTML+CSSが広がってしまったのですね。

でも,本書によると「あっという間」というわけではなく,長く険しい道のりであったようです……。

本書(そして,もちろんW3C)が提唱する,「構造はHTML。見栄えはCSSで。」という思想には激しく同意してしまいます。

おいらは,会社ではMicrosoft Wordをよく使うのですが,ほぼ100%,どんな短い文書も「スタイル」を使って書いています。だから,見出しの部分は「見出し1」スタイル,文書作成日は「文書情報」スタイルなんかを作って,使っています。そうすることで,仕事の文書を作るときには,ほとんど見栄えを気にせず,中身だけをせっせと書くことができます。見栄えが気になれば,後で「スタイル」設定を変えればいいだけですから。

それに引き替え,テーブル&フレームレイアウトだった頃のHTMLは,とても中身を考えることはできず,いつでも<td>,<tr>,<font>タグの嵐でした。そして,もちろん,<img src="spacer.gif">も。

初期のTeXやroffはすごく使いやすかったのに,いろいろ見栄えを気にするうちに,とてつもなく可読性の低いソースを書かざるを得なくなったのと似ています。

これに対して,文書の基本構造(見出し,箇条書き,段組,,,もちろん本文も)はHTMLで記述し,見栄えに関してはCSSで制御しようというのが「WEB標準」の基本的な考え方です。こうすると,本当にHTMLを書くのが楽になります。

そもそも,テーブル&フレームレイアウトだったら,Movable Typeのようなコンテンツマネージャでは,テンプレートファイルに,

  • 本文
  • 見栄え制御のためのタグ
  • Movable Typeのタグ,コンテナタグ

が混在してしまって,何がなんだか分からなくなるでしょうね(現状ですら,おいらでは理解不足ですから……)。

本書では,W3Cや著者が考える「WEB標準」の良さを説きつつ,いかに各ブラウザベンダと交渉してきたかが分かります。そして,これは,PC関係の洋書全体に言えることですが,日本のPC本より圧倒的に面白い!本になっています。

例えばXHTMLの将来性をたたえた章の締めくくりで,「あなたがXHTMLに転換しない理由」としてあげているのは,

  • 君は時間給で働いている
  • 君の頭の中の小人がそうするなとささやいている
  • 君はXHTMLの仕様を知らない

などと書かれています。それでいて「最後の一つは僕らが解決できる。次章に進もう」とうまく,次章につないでいきます。日本だったら,

  • 既存のコンテンツの再構築に費用がかかるから
  • 顧客の要望により制限があるから
  • ブラウザによって表示が異なるおそれがあるから

などと,馬鹿正直に書くんだろうな。

大学で情報工学を習っていた頃(まさにWEBが発明された頃ですが),教科書はほとんど洋書でした。日本でも石田晴久さんのような優れた方もいたのですが,やはり,圧倒的に洋書の方が正確だし,なにより面白かったです。

「日本はいい研究はするんだけどプレゼンが…」とはよく言われますが,こういうところにも現れているんだろうなぁ,と感じてしまいます。

妙に話がでかくなってしまいましたが,W3Cの事務局に日本が入っていることを喜びつつ,とりあえずは,本ブログがW3CのXHTMLバリデーションチェックを通過できるように,これからせっせとあちこち直してみようっと。(本日現在,274エラー。ちょっと無理な気もする…)


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2005年02月23日 | カテゴリ:  フォトポタ日記 | ID: 96
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