オールドレンズの愉しみ,Carl Zeiss T* Biogon 28mm F2.8

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この,クラシカルなデザインがたまりません(^^)

この,クラシカルなデザインがたまりません(^^)

Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D

我が家のミラーレス一眼のNEX-5Nには,中古で買った,約20年前のCarl Zeissレンズがあります。

マウントアダプターを使って強引に装着するのですが,ピント合わせは手動で,絞りの調節も難しいし,装着にコツが必要で下手するとカメラ内部に傷をつけてしまうという,困ったレンズです。

しかし,「コンパクトで見た目がとても格好いい」という,すばらしい長所があります。

使いにくくても,写りがイマイチでも,とにかく見た目が格好いい。いかにもフォトポタ日記の作者が好みそうなレンズです(笑)

Carl Zeiss T* Biogon 28mm F2.8

今回紹介するのは,Carl Zeiss T* Biogon 28mm F2.8というレンズで,昔,京セラが作っていた,CONTAX Gシリーズというレンジファインダーカメラ用の交換レンズのひとつです。

もちろん廃盤ですので,今年の2月ごろ,中古カメラ店で購入しました(確か2万くらい)

一眼レフカメラと違って,内部に可動ミラーを持たないレンジファインダーカメラは,レンズのバックフォーカスを短く設計する必要が無いので,比較的コンパクトなレンズを作ることができます(特に広角レンズ)。

左はD90用の18-50mmF2.8。APSのレンズよりも,フルサイズのBiogonの方が遥かにコンパクト(^^)

左はD90用の18-50mmF2.8。APSのレンズよりも,フルサイズのBiogonの方が遥かにコンパクト(^^)

Nikon D90 + SIGMA 50mm MACRO F2.8
装着面(フランジ)から奥までずっとレンズが飛び出ています。

装着面(フランジ)から奥までずっとレンズが飛び出ています。

Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D

NEXには,KIPONという中国メーカーのマウントアダプターを経由して装着するのですが,残念ながら以下のような面倒くささがあります

  • オートフォーカスが効かない:昔ながらのカメラと同じで,ピントリングを手でくりくり回してピントを合わせます。
  • 開放測光ができない:カメラとの間で絞り情報をやり取りできないので,一番明るい開放状態でのピント合わせができる一眼レフと違い,実際に光を絞って暗くなった画面でピント合わせをする必要があります。
  • レンズ装着が難しい:レンズ,アダプタの装着にコツが必要で,間違えると,カメラ内部に傷を付けてしまいます(もう付いちゃいました・・・)
  • 画質が良いわけではない:なんせ20年前のレンズですから,解像度は低いですし,周辺光量低下もかなりあります。そこがまた,味なわけですが(^^)
  • 被写体によれない:なんと最短撮影距離は50cm。ブツ撮りほぼ無理です。

Biogonちゃんにはピントリングが無いので,マウントアダプターのピントリングと歯車を介してピント調節をします。

しかし,このマウントアダプターの工作精度が恐ろしく低いために,回転がとてもギクシャクしていて滑らかにピント合わせができません。

あまりに動きが悪いので,DURAグリスを塗りこむ作業中。

あまりに動きが悪いので,DURAグリスを塗りこむ作業中。

SONY NEX-5N + E30mm MACRO

というわけで,欠点ばかりのBiogonですが,これらを補って余りうる利点があります。

それが,冒頭にも書いたとおり,コンパクトなサイズと見た目の格好良さです。

マウントアダプタ経由でBiogonちゃんを装着するとこんな感じになります。

マウントアダプタ経由でBiogonちゃんを装着するとこんな感じになります。

Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
実にコンパクトなNEX-5NとBiogonちゃん。

実にコンパクトなNEX-5NとBiogonちゃん。

Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D

金属製のフードやキャップも含め,「いっそ,写んなくてもいいや」と思わせるくらい,見た目に惚れています(笑)


Biogonちゃんの実力は?

普段はオートフォーカス(&開放測光)でバンバン連写しているNEX-5Nですが,Biogonちゃんを装着すると,急にクラシカルなカメラに生まれ変わります。

急に古風な感じのNEX-5N。

急に古風な感じのNEX-5N。

Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D

実際に1枚撮影するのには,こんな風な操作になります。

  1. 絞りリングを開放にする
  2. (工作精度の低い)ピントリングを回してピントを合わせる
  3. 希望の被写界深度になるように絞りリングを回す
  4. シャッターボタンを半押ししてシャッター速度を確認する
  5. シャッターボタンを全押しする

NEXシリーズには,ピントが合っている物体が液晶画面上でピカピカ光る,「フォーカスエイド」という素晴らしい機能があるので,手動でも正確にピントを合わせることができます。

しかし,1~5の手順をやるには,早くても30秒,下手すると1~2分もかかります。

なので,やっぱり20年前の感覚に戻って,1枚1枚,ゆっくりと腰をすえて撮るのがよさそうです。

画像無調整でこんな感じ。意外といけるぞ!?

画像無調整でこんな感じ。意外といけるぞ!?

SONY NEX-5N + Carl Zeiss T* Biogon 28mm F2.8
これは,最新のT* Sonnar 24mm F1.8。ここまで寄れるのもすごい・・・。

これは,最新のT* Sonnar 24mm F1.8。ここまで寄れるのもすごい・・・。

SONY NEX-5N + Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA
これが,Biogon28mm F2.8。近寄れないのでトリミングでサイズをあわせました。実質,拡大しているわけですが,まずまずの解像度です。

これが,Biogon28mm F2.8。近寄れないのでトリミングでサイズをあわせました。実質,拡大しているわけですが,まずまずの解像度です。

SONY NEX-5N + Carl Zeiss T* Biogon 28mm F2.8

写真のように,最新鋭のレンズと比べてもまずまずの性能ですし,なにより,なんでもオートの現代カメラが忘れてしまった,「カメラをごちゃごちゃいじって写真を撮る」という楽しみを思い出させてくれます。

最新のカメラに,20年前のレンズ。

制約も色々ありますが,古いクロモリロードのような,ゆったりした感じが気に入っています。

広角だけど,絞り開放では,わりと綺麗なボケも得られます(^^)

広角だけど,絞り開放では,わりと綺麗なボケも得られます(^^)

SONY NEX-5N + Carl Zeiss T* Biogon 28mm F2.8
ただし,逆光には絶望的に弱い(笑) この辺は,最新のレンズにはまったく太刀打ちできません。

ただし,逆光には絶望的に弱い(笑) この辺は,最新のレンズにはまったく太刀打ちできません。

SONY NEX-5N + Carl Zeiss T* Biogon 28mm F2.8

NEXやPENなどのミラーレスをお持ちの方は,ぜひ,一度,オールドレンズののんびりした世界もどうぞ~(^^)


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2012年11月08日 | カテゴリ:  レンズ | ID: 10505
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