D90とスピードライト(その1:近接撮影時の改善)

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カメラ(D90)の前にある,このヘンテコなパーツはなんでしょう・・・?

カメラ(D90)の前にある,このヘンテコなパーツはなんでしょう・・・?

Nikon D70 + Nikkor 35mm F2D

本ブログ内の紹介記事へしばらく前に予告していますが,新カメラ(Nikon D90)登場により,しばらくは本ブログに占めるカメラ記事の比率が高まる予定です(^^)

新しいオモチャで喜んでいるという一過性(じゃ困るんだけど)の現象ですので,今しばらく辛抱しておつきあいください(笑)

で,今日もカメラの話題。Nikonが誇る(?)ライティングシステムであるCLS(Creative Lighting System)のワイヤレス発光機能のカイゼンについてです。

はじめに

あまりカメラに詳しくない方にとっては,あの,カメラのてっぺんに付いている「ピカッ」と光るライトは,「ストロボ」や「フラッシュ」と称することが多いかと思います。

が,ニコンやキヤノンにおいては,あれのことを「スピードライト」と呼びます。一説には,「ストロボ」という単語がアメリカの会社の商標だから,それを避けているのではないかとのことです。

「だったらフラッシュでいいじゃん」と思うのですが,この2社ではなぜか「スピードライト」です。でも,生まれて初めて「スピードライト」と聞いたら誰だって,

  • すごい速さで走ることができるライト
  • スピードガンのように,物の速度を測るライト
  • やたらと電池の減りが早い懐中電灯

のどれかと思うでしょう(違うかな?)。一応,本ブログ内の紹介記事へにわかニコン信者のおいらとしては,この記事では「スピードライト」の方を使って書きますが,要するに「ストロボ」であり,「フラッシュ」のことですので,ご安心ください(^^)

(でも,ニコンもカメラ本体のは「内蔵フラッシュ」と呼んでいたりするので,曖昧だったりしますが・・・)

CLSによるワイヤレス発光の,ちょっとした課題

以前,スピードライト本ブログ内の紹介記事へSB-800の紹介記事でも書いたのですが,Nikonのデジタル一眼は,外置きのスピードライトをカメラの標準機能だけでワイヤレスコントロールすることができます。

具体的なコントロール方法は当時の記事を見ていただくとして,要するに,カメラ本体の内蔵フラッシュを「送信機」にして,遠くに置いたスピードライトと通信を行い,ワイヤレスコントロールするのです。

似て非なる方式として,安価な「スレーブユニット」という発光方法があります。こちらは,カメラの内蔵フラッシュが本気で発光した瞬間,外付けのスピードライトもその光を検知して「あ,オレも発光しなきゃ!」」とあわてて発光する方式です。この方法では後から発光するスピードライトは,「どれだけの光量で発光したらいいか」の情報は何も持っていませんので,人間が適当に設定してやるか,とりあえずフル発光しちゃうかです(で,たいてい難しいです)

一方,CLSでは,カメラと遠くに置いたスピードライト間で通信をし,適正な発光量や色温度情報のやりとりをするので,特に何も設定しなくても,カメラの内蔵フラッシュも遠くに置いたスピードライトも適切な発光量制御が行われ,とても自然な写真になります(カメラの絞りを絞ると,ちゃんと発光量が増加します)。文章で書くとややこしいですが,要するに部屋の片隅にでもスピードライトを置いておけば,室内のどこでも,自然な感じで明るく撮影できるようになります。

透明な物体でも,自然に撮れます。右の方にスピードライトを置いて撮っています。

透明な物体でも,自然に撮れます。右の方にスピードライトを置いて撮っています。

Nikon D90 + SIGMA 50mm MACRO F2.8

が,D70のころからずっとですが,課題が一つありました。

カメラを親機にしたワイヤレス発光では,撮影直前のカメラ内蔵フラッシュのプリ発光で発光量を決め,その情報をすべてのスピードライト達に伝えます。

そして,すべてのスピードライト(上限は無いのですが,実用的には3個くらい?)が完全に一斉に発光する必要があります。そのため,CLSではカメラのシャッターが切られる寸前に,「せーの!」とすべてのスピードライトで息を合わせるための,とても小さな発光(プリ発光より小さい)をします。これを合図に,みんなで一斉に「ボワッ!」と発光するのです。

で,ふつうに撮っている分には,この「せーの発光」は気にならないのですが,接写で小物を撮ろうとした場合には,この「せーの発光」まで写り込んでしまうことがあります。被写体の真っ正面に小さな光が照射されますので,自転車パーツのように鏡面が多い被写体ではテカってしまったり,白飛びしてしまったりします。(普通のコンデジのフラッシュと同じですネ)


なにも工夫しないと,「せーの」の発光が写ってしまいます。

なにも工夫しないと,「せーの」の発光が写ってしまいます。

Nikon D90 + SIGMA 50mm MACRO F2.8

この現象を防止するために,以前は,カメラ本体の内蔵フラッシュの前に片手をかざし,被写体には光が届かないような工夫をしていたのですが,片手撮影になるのでブレてしまうし,発光部を完全に隠してしまうと,誰も発光してくれないという寂しい状態になることも多々ありました・・・。(この場合,手から煙りらしき物が出ることがある。なんなんだろ?)


解決方法

猛烈に長い問題提起でしたが,解決方法は実に簡単です。

CLSワイヤレス発光での接写で困っている。そんなあなたにはコレ,「SG-3IR」(外部サイトへ楽天最安値検索)がすべての悩みを解決しれくれます(^^)

こんな風に,カメラのシューに乗せ,スピードライトの前に「すだれ」を降ろすのです。

こんな風に,カメラのシューに乗せ,スピードライトの前に「すだれ」を降ろすのです。

Nikon D70 + SIGMA 50mm MACRO F2.8

これをカメラのアクセサリーシューに装着し,本体内蔵フラッシュの目の前に垂らしてあげればいいのです。「IR」という名前から察するに,赤外線(infrared)領域の光だけを通すことで,「カメラ~スピードライト間の通信を邪魔しない」,でも,「被写体には光を照射しない」,という矛盾を解決しているのではないかと思います(違うかもしれないけど・・・)。

あんまり意味はないですが,跳ね上げることもできます。

あんまり意味はないですが,跳ね上げることもできます。

Nikon D70 + SIGMA 50mm MACRO F2.8

実売1000円ほど。たったこれだけのアイテムを装着するだけで,約5年にわたって悩み続けてきた,「CLSワイヤレス発光での接写」の課題が解決してしまいました。

解決のきっかけは,D90のマニュアル。

D90はCLS機能がさらにパワーアップしたため(どうパワーアップしたかは本記事末尾を参照),その扱い方をよく見ておこうと思ってマニュアルを熟読していたら,

近距離撮影を行う場合,この少量発光が画面に写り込む場合があります。画像への影響を防ぐには,低いISO感度,または小さい絞り(大きい絞り値)で撮影するか,別売りの内蔵フラッシュ用赤外パネル(SG-3IR)をお使い下さい。

という記載を見つけたのです(太字はおいらによる)。「なんだ,だったら最初から言ってくれよぉ!」と世界の中心で叫んでしまいました。「ひょっとしたら以前からこうなのか!?」と思ってD70のマニュアルを見ましたが,

近距離撮影を行う場合,この少量発光が画面に写り込む場合があります。画像への影響を防ぐには,低いISO感度,または小さい絞り(大きい絞り値)で撮影してください。

となっていました。どうやら,D70の頃は,この「SG-3IR」は無かったようです。5年間に渡る,片手で内蔵フラッシュを隠しての努力は無駄ではなかったようで,少しホッとしました(笑)

スピードライト無し。暗い・・・

スピードライト無し。暗い・・・

Nikon D70 + SIGMA 50mm MACRO F2.8
スピードライトありで,SG-3IRなし。「せーの発光」が写り込んでいるし,立体感が無いです

スピードライトありで,SG-3IRなし。「せーの発光」が写り込んでいるし,立体感が無いです。

Nikon D70 + SIGMA 50mm MACRO F2.8
スピードライトありで,SG-3IRあり。横からの光で立体感が出てカッコイイ♪

スピードライトありで,SG-3IRあり。横からの光で立体感が出てカッコイイ♪

Nikon D70 + SIGMA 50mm MACRO F2.8
撮影状況はこんな感じ。夜のキッチンで撮っています。背を向けているのが,スピードライトSB800。

撮影状況はこんな感じ。夜のキッチンで撮っています。背を向けているのが,スピードライトSB800。

Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D

同じ事(スピードライトのワイヤレスコントロール)をやろうとした場合,他社カメラはでっかい「コントロール箱」みたいな物体をカメラに装着しなければなりません(しかも安くない)。

ワイヤレス制御がカメラ本体だけでできるということは,Nikonデジタル一眼の大きなアドバンテージだと思いますが,なぜかほとんど宣伝されていません(おいらだって,D70を買ってから1年ほど経って知りました)

このブログに掲載している小物写真の多くは,このCLSワイヤレス発光で撮影しています。あらためてこの機能に感謝するとともに,Nikonはもう少しアピールすればいいのになぁ,と願わずにはいられません(^^)

次回も,このすばらしきスピードライトネタを紹介してみようかな?と思っています。

おしまい

薄暗い室内で,これだけ明るく,自然に撮れるというのは感激であります。

薄暗い室内で,これだけ明るく,自然に撮れるというのは感激であります。

Nikon D70 + SIGMA 50mm MACRO F2.8


【追伸:D90でのCLSの進化について】
D70でCLSワイヤレス発光をやる場合,カメラ本体の内蔵フラッシュは「送信機」機能に徹してしまうため,通常の本気発光はしてくれなく,1個しかスピードライトを持っていない(普通そうだよね)場合は,1灯ライティングしかできません。

D90の場合,カメラ本体の内蔵フラッシュは「送信機」の役目を終えた直後,本気のフラッシュとして発光もしてくれるので,1個の外部スピードライトしか持っていない人(おいらも)でも,いきなり2灯ライティングが堪能できます(使いこなせるかは別ですが・・・)。つまり,本体の内蔵フラッシュは,プリ発光,せーの発光,本気発光,の3つの発光を数百分の1秒の間に行っているのです(す,すごい・・・)

しかも,カメラ本体内蔵フラッシュと外部のスピードライトで別々に調光補正もできます(もちろん,個別に発光禁止にもできる)

内蔵+外部2グループ,合計3グループのスピードライトを調光できます。

内蔵+外部2グループ,合計3グループのスピードライトを調光できます。

Nikon D70 + Nikkor 35mm F2D

D90でワイヤレスコントロールできるスピードライトは2グループで台数の上限は無し(実用上は3台くらいだそうですが),「よくこれだけの機能をカメラ標準仕様に組み込んだなぁ」と感心するとともに,あらためて,「もっとアピールしたら・・・?」という思いを深くしてしまいます。


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おいらのSB800。まだまだ現役♪

2009年02月28日 | カテゴリ:  D90 | ID: 1931
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