Shiro家3代目デジタル一眼,SONY NEX-5N(イマイチな点)

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シャッターボタン以外,これだけのボタンですべての操作をする。そこに,ちょっと無理があるのかも・・・。

シャッターボタン以外,これだけのボタンですべての操作をする。そこに,ちょっと無理があるのかも・・・。

Nikon D90 + SIGMA 50mm MACRO F2.8

前回のNEX-5N紹介では,使用3ヶ月で気に入っている点を紹介しました。

そこでは,「高感度撮影が強い」「ちゃんとボケる」「使える動画機能」「そこそこ使えるピクチャーイフェクト」などを紹介しました。

最終回の今回はイマイチ気に入らない点ですが,結構たくさんあり,わがままな消費者心理そのものを見るような感じです(笑) SONYさんごめんなさい・・・。

【その1】カメラっぽさが足りない

これが,3ヶ月使用してみて一番感じている,NEX-5Nのイマイチ気に入らない点です。(完全に「好み」の問題ですが・・・)

性能はそこそこいいですし,出てくる画像もいい。

サイクリングに出かけてちょっとした写真を撮るにはいいのですが,これで,真剣に写真を撮る気にはどうしてもなれないのです。

その原因を自分なりに考えてみると・・・,

ファインダーが無い
標準ではファインダーが無く,コンデジのように背面液晶での撮影になります。背面液晶の品質はとても高く,背景のボケも確認できます。それでも,周りの景色を排して,狭いファインダーを「覗く」という行為がないと,物足りなく感じてしまうようです。
シャッター音
個人の好みによるところが大きいですが,NEX-5Nのシャッター音はどちらかというと「嫌な音」です。小さな「カチャ・・・」や大きくても「カシャ!」ならいいのですが,NEX-5Nは「ガチャ」という濁った音です。PENは小さな「カチャ」なのでうらやましい限り。
そのほか
スマホ・コンデジのようなメニュー画面,レンズのしょぼさなどが該当しそうです。

気がついところはこんな点なのですが,でも,実はこれだけじゃない,何かが足りないのだと思います。

性能も十分だし,機能はてんこ盛りだし,使い勝手だって致命的に悪いわけではないのですが,やっぱり,どこか「家電」ぽさを感じてしまいます。

液晶で撮るのは便利なんですが,いまいち,緊張感が・・・。

液晶で撮るのは便利なんですが,いまいち,緊張感が・・・。

Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D

繰り返しですが,機能や性能として不満があるわけではなく,「写真を撮っている」という,ある種の緊張感を感じることが無いのが残念と思っています。

へんな例えですが,自由に消せて便利な「フリクションボールペン」と,液漏れしたりして不便だけど愛着のある万年筆みたいな差かもしれません。


【その2】メニュー・モードが複雑すぎる~

どこのメーカーも似たようなものかもしれませんが,古い機種から連綿といろんな機能を引き継ぎ,継ぎ足ししてきた結果なのでしょう,メニューやモードが非常に複雑になっています。

多くの方や雑誌等でも,NEXシリーズのメニューの使いにくさが指摘されているのですが,その原因をおいらなりに考えてみました。

たとえば,カメラの基本である露出と画質を決めるには,NEX-5の場合,大雑把に言って,以下の4つを組み合わせて行います。

撮影モード
露出(絞りとシャッター速度)制御の方法を決めますが,一般的な(P/A/S/M)以外にも多くの選択があります。
モード名説明
マニュアル露出普通のカメラと同じ
絞り優先 〃
シャッタースピード優先 〃
プログラムオート 〃
人物ブレ低減6枚の高速連写写真を合成し,被写体ブレを低減する
シーンセレクション【以下から1つを手動選択】
ポートレート,風景,マクロ,スポーツ,夕景,夜景ポートレート,夜景,手持ち夜景
おまかせオート【以下から1つをカメラが自動認識】
夜景,三脚夜景,夜景&人物,逆光,逆光&人物,風景,マクロ,スポットライト,低照度,赤ちゃん
スイングパノラマ横方向に大量連写してパノラマ写真合成
3Dスイングパノラマ↑の3D版
クリエイティブスタイル
全体的な絵の仕上がり設定をします。 スタンダード,ビビッド,ポートレート,風景,夜景,白黒の6種類の仕上がり設定があります。
ピクチャーイフェクト
第2回でも紹介した,いわゆるお遊びフィルター群で,ミニチュアやトイカメラなど,10種類のイフェクトがあります。
ホワイトバランス
地味ですが,忘れちゃいけないホワイトバランス(^^)これだけで,青い冷たい写真や,赤い暖かい写真を撮ることができます。

これらの機能をいろいろ組み合わせてやっていくのですが,たとえば,「ちょっと,夕焼けっぽく(赤く)写したい」と思ったら,

  1. 撮影モード > シーンセレクション > 夕景
  2. (任意の撮影モードで)色合い・明るさ > ホワイトバランス > 晴天日陰
  3. (任意の撮影モードで)色合い・明るさ > クリエイティブスタイル > 夕景

の3種類の方法が可能ですが,それぞれ全く異なるメニュー位置に収められていて,パッと思いつく場所にありません。

操作画面自体は凝っていて,楽しいんですけどねぇ(それが,またかえってオモチャ感を増している?)

操作画面自体は凝っていて,楽しいんですけどねぇ(それが,またかえってオモチャ感を増している?)

Nikon D90 + SIGMA 50mm MACRO F2.8



同じように,手ブレを防ぎたい場合には,高速連写合成(HDR)による機能として,

  1. 撮影モード > 人物ブレ低減(6枚連写)
  2. 撮影モード > シーンセレクション > 手持ち夜景(3枚連写)

の2種類の方法ががあるのですが,「人物ブレ低減」は撮影モードのひとつとして独立しているのに,どうして「手持ち夜景」はシーンセレクションの中に隠されているのか,その理由がわかりません・・・。

ヒューマンインターフェースを設計する場合の基本のひとつですが,同じような機能が同じ場所に収められていないのです。

どうも,NEX-5Nのメニュー構造は全体的にこんな感じで,あることをしたいと思ったときに,そのメニュー位置を想像しにくいために使いにくくなっているのだと思います。

EXCELで,「上書き保存」がファイルメニューにあるのに,「名前をつけて保存」がツールメニューにあったら,やっぱり使いにくいですよね。

次の世代では,継ぎ足しで増やしてきた機能・メニューを抜本的に整理して欲しいと願います。


【その3】ほんのちょっとだけ鈍い

きわめて初期の機種を除き,デジタル一眼レフは動作がキビキビしているのが特徴のひとつです。

撮影画像の再生や削除なんかではモタモタする場面もありますが,撮影時にモタモタする機種はほとんど見かけません。

NEX-5Nの場合も,ほとんどの場面でモタつくことはないのですが,ほ~んのちょっとだけ反応が鈍いことがあります。

たとえば,絞り優先モード(Aモード)で撮ろうとしたとき,絞り値は背面のダイヤルで変化させるのですが,そのレスポンスが僅かに遅く感じます。

指で回し始めると,あわててF値を示すインジケーターの色が変わり「選択していますヨ」を表してくれ,続いて数字が変化し始めるのですが,微妙にダイヤルの回転に追いつきません。

意図した絞り値を通り過ぎてしまうこともあり,プチイライラの原因になります。

ダイヤル操作に,F表示の数字変化が微妙に追いつかないのです・・・。

ダイヤル操作に,F表示の数字変化が微妙に追いつかないのです・・・。

Nikon D90 + SIGMA 50mm MACRO F2.8


デジタル一眼レフと異なり,液晶画面上にたくさんの情報を表示しなければならない負荷があるのでしょうけど,とにかく撮影時には一切のモタツキをなくして欲しいなぁ,と思います。

こんな凝った表示モードもありますが,よりレスポンスが遅くなります・・・。

こんな凝った表示モードもありますが,よりレスポンスが遅くなります・・・。

Nikon D90 + SIGMA 50mm MACRO F2.8



【その4】メニュー項目が多すぎる。助けて~

またも登場,メニュー問題。

メニューボタンを押すと,6個のメニューがアイコン表示され,各アイコンをつつくと項目名がずら~っと一覧表示されます。

メニューボタンを押すと,この画面。トップメニューは6項目です。

メニューボタンを押すと,この画面。トップメニューは6項目です。

Nikon D90 + SIGMA 50mm MACRO F2.8
各メニュー内部は,延々と項目が縦に並びます。

各メニュー内部は,延々と項目が縦に並びます。

Nikon D90 + SIGMA 50mm MACRO F2.8



全部で92のメニュー項目があり,この数自体は最近のカメラでは多すぎることも無い普通の数かと思います(手持ちのNikon D90だと91項目)。

使いにくなぁ,と思うのは各メニューの項目数のアンバランスぶりです。

メニュー名項目数
撮影モード9
カメラ15
画像サイズ9
明るさ・色合い8
再生11
セットアップ51

「明るさ・色合い」メニューは8項目しか選択肢が無いのに,「セットアップ」メニューでは驚きの51項目もの選択肢が縦に延々と並び,この中から,ひたすらスクロールさせて目的の項目を探し出すのは,結構苦労します。

セットアップメニューには,たとえば,以下のような項目が並んでいます。

  • AF補助光のON/OFF
  • ノイズリダクションの設定
  • 時計設定
  • 画面の明るさ設定
  • メモリーカードの残量表示
  • 色空間の設定

パッと見て,脈絡の無さがわかります。

「カメラ」や「明るさ・色合い」メニューに整理したほうがいいような項目もあり,なんとなく,「面倒だから,みんなセットアップメニューに入れておけばよかろう」的な感じがします。(パソコンのソフトにある「ツール」メニューも同じになりがちですが・・・)

そもそも,トップメニューの「カメラ」が意味不明で,ここら辺からメニューの整理がこんがらがっているのでは?という気もします。(全部,カメラに関係した設定に決まってるじゃん~!笑)

カメラなのに,「カメラメニュー」ってなんやねん!(笑)

カメラなのに,「カメラメニュー」ってなんやねん!(笑)

Nikon D90 + SIGMA 50mm MACRO F2.8

ちなみに,長年連れ添っているNikon D90のメニュー構成は以下のようになっています。

メニュー名項目数
再生9
撮影13
カスタム7
(うち6つはサブメニュー
展開して合計41項目)
セットアップ14
画像編集13
マイメニューよく使うメニューを自分で登録

項目数は合計91個でNEX-5Nとほぼ同じなのですが,項目数が多くなるカスタマイズ関係の設定をジャンルごとのサブメニュー(AF関係,露出関係,操作関係など)に分けることで,大量の項目が並ぶことを回避しています。

また,各メニューには番号が振られているので,覚えればすぐにたどり着けるようになっていますし,よく使うメニューを自分で登録できる(ショートカット)ので,多少階層が深くなっても大丈夫なように工夫してあります。

「カメラ」という機械に対する歴史(かたや数年,かたや60年くらい?)が全く違うのでやむをえないところもあるのかもしれませんが,もう少し,既存メーカーの良いところも研究したほうがいいのでは?という気がします。

まとめ

このほかにも,「汎用のストロボが使えない」「RAWでできないことが多い」「フォーカスフレームが見にくい」などの細かい不満もありますが,先に書いた4点に比べれば小さなことです。

カメラっぽさが足りない,という一番の問題は,そもそもこの種のカメラに期待するほうがおかしいので,これだけの高性能カメラを気軽に携帯できるという最大のメリットとのトレードオフなのだと思います(いや,OLYMPUS PEN-EP3は両立できているかも?)

細かい不満はありますが,なんといっても自転車で気軽に持ち出せ,ちゃんとデジタル一眼品質で撮って帰ってくることができるということが素晴らしいです。

どうしても「オモチャ感」が抜けませんが,超高性能なオモチャとして末長~く愛用していこうと思っています。

SONYさん,文句ばっかりでごめんなさ~い。大好きですよ~(^^)

最近のお気に入りは30mmマクロ。ほとんどこれしか使っていない(^^)

最近のお気に入りは30mmマクロ。ほとんどこれしか使っていない(^^)

Nikon D90 + SIGMA 50mm MACRO F2.8

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2012年03月25日 | カテゴリ:  NEX-5N | ID: 10285
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