2012年4~6月の読書記録

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気が付いたら,3月を最後に「今月の読書記録」をずっとサボっていました。

理由は超簡単,ろくに本を読んでいなかったからです(笑)

4~6月はヤビツ&富士ヒルクライムに全精力を注いでいて(その割には,という切なさもありますが・・・),自転車関係のトレーニング本ばっかり読んでいた気がします。

それでも,通勤電車限定で数冊は読むことができていたので,3か月分まとめて読書記録を残しておくことにしました。

4~6月の,雑誌を除いた主な読書は以下のとおりです。

タイトル・著者プチ感想
仏果を得ず (双葉文庫)
『仏果を得ず』
三浦しをん

文楽を舞台にした(たぶん)珍しい青春小説。

あの,人形を操り,その横で詩吟のように物語を語る伝統芸能が舞台です。三浦しをんは,過去にも林業(「神去なあなあ日常」),辞書作り(「舟を編む」)など,普通の青春小説では取り上げないであろうテーマで書いています。

正直言って,おいらは文楽はまったく分からず,読み始めてしばらくは分からんことだらけだったのですが,それでも十分すぎるくらい楽しく読むことができました。

他の三浦しをんの小説と同じく,何かひとつのことに心血を注いで生きる青年を描いていて,今回は文楽ですが,やはり主人公の芸に対する真摯な生き方やその周囲の人たちの温かさに引き込まれます。

大傑作!というわけではないですが,三浦しをんの中でもかなり上位にランキングしていい,ライトだけど楽しい小説です。

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)
『ビブリア古書堂の事件手帖』


ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)
『ビブリア古書堂の事件手帖2』


ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)
『ビブリア古書堂の事件手帖3』

三上延

ジャケ買いです(笑)

我が地元北鎌倉に構える古書店の若き女主人とバイト(?)青年が,古書に関連したさまざまな謎を解いていくお話。

いわゆる,「ライトノベル」に分類されるそうですが(全巻読み終わってから知りました・・・),特に普通の小説と変わらず,老若男女,誰でも楽しめる小説だと思います。

物語は,派手な事件が起こるわけではなく,古書に関わる小さな事件を,安楽椅子探偵である主人公が静かに,ゆっくりと謎解きしていきます。

複雑なトリックやアリバイ工作などを暴いていくのではなく,犯人の,ちょっとした出来心などから生まれた小さな事件を,ほんの僅かな手がかりと抜群の推理力,観察眼で理路整然と解決していきます。

主人公がべらぼうに美人さんであることも,男性諸氏にはオススメでありましょう(逆に,同性には反感を買いやすいタイプでもありますが・・・)

ブランケット・キャッツ
『ブランケット・キャッツ』
重松清

二泊三日でネコをレンタルできるサービス(本当にあるんだろうなぁ)。ここでネコを借りていった人,家族の三日間を描く短編集。重松清にしては珍しく,ほのぼのした雰囲気に包まれた小話が多く,ちょっと意外でした。

で,良かったかのかと聞かれるとイマイチ。なんか,どの話も過去の氏の小説で出てきたような話で,そこに,「ネコ」と「ほのぼの感」をプラスしただけのような感じで,無理があるというか,ネコにこじつける必然性をあまり感じませんでした。

普段の重松清は,通勤電車で読むと危険(号泣率高し)なので,たまには,こんな軽い(ライトノベル?)小説もアリなのかもしれませんが,普段の重松節を期待すると見事に裏切られるので要注意です。

脳内の90%がヒルクライムで埋まっていた期間でしたので,どれも,軽めな小説ばかりを読んだ3ヶ月でした(^^)




「ビブリア古書堂の事件帖1~3」


おいら初の,ライトノベルです。

いや,東川篤哉の『謎解きはディナーの後で』なんかも,超ライトな感じがしたから,あっちがデビュー作(?)なのかな。

カバーの絵(=主人公の古書店女主人)と舞台設定(=北鎌倉)にひかれてBOOKOFFで購入,1ヶ月で3冊とハイペースで読んでしまいました。

物語の舞台は北鎌倉界隈です。

物語の舞台は北鎌倉界隈です。

SONY DSC-TX10

3巻とも4話程度の連作短編集になっていて,1→2→3巻と話は連続しているのでこの順番で読んでいくのが良いでしょう。

ストーリーは,古書にまつわる小さな事件を,主人公がものすごい観察眼と推理によって,謎解きしていくお話です。

1つの短編で1つの事件を解決するのですが,決して大きな事件ではなく,「昔読んだ本の題名を知りたい」「家で盗まれた本を探して欲しい」などの,古書に関係する小さな事件ばかりです。

3巻で合計12件もの,「古書に関わる事件」に遭遇する設定に若干の無理があるような気もしますが(笑),それぞれ,古書に関する深い知識が元になったお話であり,本好き,とくに古書好きであれば文句なく楽しむことができると思います。

レベル感はだいぶ違いますが,おいらが好きな北村薫の「円紫さんと私」シリーズのように,圧倒的に頭が切れる主人公が,理路整然と日常事件を解決していくさまは胸がすっきりします。

北鎌倉駅の裏側。この辺にビブリア古書堂があるはずなんだけど・・・。

北鎌倉駅の裏側。この辺にビブリア古書堂があるはずなんだけど・・・。

SONY DSC-TX10

ただ,読み終わった後には「ふ~ん」という脱力感というか,物足りなさが付きまとうのも事実です。ここら辺が「ライト」と言われる所以なのか分かりませんが,人物描写がかなり甘く(主人公も,毎回の犯人達も),物語が厚みが足りなくなっているなぁ,という気がするのは少し残念。

事件を起こしてしまった人物の,やむにやまれぬ心情や,それを鮮やかに見抜いてしまう主人公の心理状態などが薄く,淡々と「謎解き」のストーリーが進んでしまっている感じがします。

それでも,決してつまらないということはなく,通勤電車で簡単に読むことができ,読むのに気合も涙も不要ですから,「重厚な推理小説を読みたいぜ!」という時以外は十分楽しめると思います(^^)

巻末にある著者の言葉では冬頃に「4」が出るみたいですが,おいらは間違いなく買うことでしょう(笑)

おわり。


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ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)
ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)
ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)

2012年07月09日 | カテゴリ:  | ID: 10400
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