2012年10,11月の読書記録

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久しぶりの月間読書記録です。

10月に,長年勤めた横浜から川崎に異動になりました。

通勤時間が多少延び,さらに,ほぼ間違いなく座れない(朝の東海道線ですから)電車通勤になったのですが,これによって,読書時間は飛躍的に増えるという隠れたメリットがありました。

この2ヶ月で雑誌を除いても10冊の本を読むことができました(^^)

10月,11月に読んだ本は以下の9冊でした(雑誌除く)。



著者プチ感想
深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫) Amazonへ
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文庫本で全6巻と長編ですが,あっという間に読みきってしまいました。著者が若かりし頃に「バスだけでヨーロッパまで行く!」と思い立って,インド→ロンドンまで旅する実話です。全編にわたって「何が何でも目的地に行く!」といった強い意志はなく,バスが停まった町でゆっくりとその町を見て,時には1ヶ月以上も暮らしてから次の町へと旅していきます。基本的にほとんどお金を使うことなく,ひたすら貧乏旅なのですが,その分,泊まる場所,食べるもの,すべてで現地の人との交渉や取引が会って楽しい。中盤は,同じような移動→宿探し→町探検→移動,が繰り返されて飽きかけますが,後半は,旅すること自体の意味を自問するようになり,単なる旅行記ではない面白さがあります。
元気でいてよ、R2-D2。 (集英社文庫)
『元気でいてよ,R2-D2』
北村薫
日常生活の中に潜む,ちょっとした悪意や後悔,負の感情などを題材にした,北村薫にしては珍しくビターな短編集。冒頭に作者が,妊娠中の人に向けて「読むのはやめた方がいい」というような但し書きが付いているのですが,それほど悪意に満ちた短編は無く,なまじ冒頭で煽ってしまったので,読み終わると「どこが?」という感がぬぐえません。が,大人になった女性が,少女だった頃に好きだった遊びに思いをはせる『木の葉隠れのあっこちゃん』だけは,人の親として涙が出ました。それ以外の短編は,,,まぁ,普通かな?(^^)
誰か ----Somebody
『誰か - somebody -』
宮部みゆき
久しぶりにやってしまった「同じ本を2回買って,2回読む」現象。「どこかで読んだ話だなぁ」と思いながらも,ぐいぐい読んでしまいました。宮部みゆきの文章力と高さと,己の記憶力低さに感謝です。自転車(!)にひき殺された会社会長の専属運転手の謎,会長令嬢の婿殿が追いかける,一応推理小説の形です。推理小説としてはトリックや犯人追跡の醍醐味はほとんど無いのでイマイチですが,普通の小説として読めばそれなりに楽しめます。ただ,最近の宮部みゆきの著作に共通の,「ダラダラした長さ」がちょっと鼻についてしまうのと,そのせいで,ある程度意外性があるはずのラストが予想できてしまうところがちょっと残念。
15のわけあり小説 (新潮文庫) 十二の意外な結末 (新潮文庫)
十四の嘘と真実 (新潮文庫) 十二本の毒矢 (新潮文庫)
ジェフェリー・アーチャー
大学生の頃,ジェフェリー・アーチャーの小説に夢中になったことがあります。ほとんどの著作を読み込んだのですが,長編もさることながら,短編の面白さにはまってしまっていました。そして,例によって「1年経てばストーリーをすべて忘れる」という便利な脳みそのおかげで,また,いちから楽しんで読むことができました。どの短編も,最後の最後に「オチ」が待っているのですが,その意外性が本当に楽しく,いくら読んでも飽きずに読み進めることができます。
ハッピー・リタイアメント
『ハッピー・リタイアメント』
浅田次郎
表紙があまりなデザインなので,電車などで読むのには勇気が要りますが,とても楽しい長編小説です。高級官僚が天下る「JAMS」と呼ばれる組織。まったく何の仕事も無く,それでいて高給が約束されている,もう,どうしようもない「税金ドロボー」的な組織。そこに新たに天下ってきた,2人が繰り広げる痛快エンターテイメント。随所に浅田次郎お得意の,競馬や自衛隊ネタをちりばめつつ,また,親父ギャグも満載でとにかく楽しい。「天下りとはけしからん」と目くじらを立てるのではなく,楽しく読んでみましょう(^^)
ニコン D800 & D800E プロはこう使う。 (インプレスムック DCM MOOK)
『D800&800E プロはこう使う』
萩原 俊哉
別にD800やD800Eを持っているわけではない(30万円だし!)のですが,Nikonのデジタル一眼レフを使って風景写真を撮る技術を詳細に説明しています。シャープな写真を撮るためのあらゆる工夫が書かれています(絞り,三脚,レンズ,レリーズショック低減,ISO,ダイナミックレンジ拡張他)。初心者向けの機種固有ムック本でもないし,構図や露出だけの本でもない。「こういう写真をNikonのデジタル一眼レフで撮るには最低限こうやろう」というノウハウが書かれています。いつまで経っても,ピンボケ写真を連発しているおいらには,まさに目からウロコの素晴らしい解説書でした。

タイトルを忘れましたが,角田光代も2冊くらい読んだ気がします。

通勤時間の増加に伴い読書時間が増えましたので,気に入った本・作家を集中的に読めています。

深夜特急の6冊はシリーズ物だから当然ですが,ジェフェリー・アーチャーを4冊も読んだり,11月末から始まった浅田次郎熱はすでに3冊目に突入しています。

長い通勤時間は不毛ではありますが,気に入った本をまとめて読むことができるというところに,数少ないメリットを見出しております。


深夜特急(1~6巻)

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫) Amazonへ
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最小限のお金と無限に近い時間を持って,インドからヨーロッパまでを全部乗り合いバスで走った旅行記。素晴らしい風景や名所の話はほとんど出てこなくて,立ち寄った各地の人々との関わりが主体に書かれています。

当面の行く先を決め,行けるだけバスで走り,着いた町で安宿を探して逗留する。何日泊まるかも決めず,その町を肌で感じられるまで歩き,食べる。そんな長いたびの記録です。

女性だと共感できるタイプの人は少ないかもしれませんが,男の場合,年代を問わずに心のどこかに,貧乏でもいいから(いや,むしろ貧乏の方がいい?),あてのない長旅をしてみたいという欲求があるように思えます。

おいらの場合は,今のところ,「日帰り自転車でどこまで遠くに行けるか」というショボイレベルの冒険心しかありませんが,もっと若いときにこういう本や自転車と出会ってしまったら,「自転車世界一周」みたいな旅に出かけたくなってしまっていたと思います。

あぁ,歳を取ってから読んでよかった~(笑)



ジェフェリー・アーチャーの色々短編集

ジェフェリー・アーチャーはイギリスの作家で,「ケインとアベル」や「独立宣言を取り返せ」などの長編で有名な作家です。

これらの長編はもちろん読んだことがあるのですが,おいらとしては,ジェフェリー・アーチャーと言えば,短編小説の方が断然好きです。

日本でも,星新一のように優れた短編作家もいましたが,アーチャーの短編集は,結末の意外さにおいて右に出るものはいないと思っています。

その「どんでん返しぶり」はハンパではないものがあり,たとえば,40ページくらい続いた短編のラスト1行で「・・・と,私は言った。」と結ばれる短編があります(ネタバレなので小説名はふせておきます)。

これを読んだ読者は例外なく,「なんだ,お前だったのかよ!!!」とびっくりする仕掛けになっています。

ラストのたった1行で,さらりと読者を裏切ってしまう(もちろん,いい意味で),本当に驚かされっぱなしの楽しい短編小説集(の集)でした。

今後の見通し

現在,おいらの中では,数年ごとに襲ってくる,第何次だか忘れたけど浅田次郎ブームです。

『ハッピーリタイアメント』がキッカケでしたが,その後にも意外と見読本が多いことに気が付き,『日輪の遺産』『シェラザード』などに挑戦中です。


■「本」カテゴリー内の前後記事
2012年12月20日 | カテゴリ:  | ID: 10541
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