[第9回]自転車のヒヤリ・ハット体験
路肩に微妙な段差,鹿の飛び出し,スリップ注意。世界は危険でいっぱいだ・・・。
RICOH Caplio GX100スポーツバイクに乗っていると,たまに「おっと危ねぇ!」という,いわゆる「ヒヤリ・ハット」体験をすることがあります。
本当に危ない場面では本人も気を付けているのですが,何の気なしに走っているときにこそ危険が潜んでいます。
スポーツバイクをやり始めて3年になります。一応は安全運転を心がけているつもりではありますが,何度もヒヤリしたことがあります。
というわけで,「自転車入門」の第9回は,過去に体験したヒヤリハット体験を列挙し,これから自転車を始める方(寒いのにご苦労様です!)に役立ててもらおう,という企画にしてみました。
路肩の小さな段差
ある程度の大きさの道路の一番左端は,たいていは白いコンクリートの側溝蓋があります。アスファルトの車道とは,一応はつながった構造になっていますが,たまに数cmの段差になってしまっている場合があります。
タイヤが太いMTBではまず危険は無いと思いますが,ロードバイクの場合,ほんの1cmの段差でも,進入角が浅けれ(直進中ですからほぼ0度です)ば,タイヤが引っかかって転倒しそうになります。
この部分。たいていは無段差ですが,たまに1cmくらいの段差が・・・。
Canon IXY Digital 320一番怖いのは,車道側の方が高めになっている場合で,2年前の夏,富士山一週中の山中湖付近で「ヒヤリ」としました。
車道の端を極端に左に寄って走っていたのですが,ちょっと気を抜いたら,車道から外れて側溝蓋の上を走り始めてしまいました。「あ,こりゃぁいかんわ」と思い,車道側に戻ろうとしたところ,あったんです,ほんのわずかな段差が(2cmくらいかな?)
すぐにタイヤの右側面が段差に引っかかり,「ウンガガガガ~!」と鳴り響きました。タイヤは段差に引っかかって直進していますが,体は右側に行こうとしていますから,自転車ごと車道側に傾いていきます。もちろん,車道は,おいらを轢こうとしている(してないって)クルマたちが疾走しています。
「あ~,死ぬ~」と思った瞬間,ちょうど側溝蓋と車道のと段差が無いところにさしかかり,スムーズに車道側に走り抜けることができました・・・。
【教訓】
自転車は車道の左端を走ることになっているが,極端に左の隅っこを走ってはいけない! 車の通行が多いときこそ,取り返しが付かないことになりかねないので,むしろ,中央よりを走った方が安全。
左折クルマ巻き込まれ未遂
自動二輪に乗っていたときにも体験しましたが,先行するクルマに急に左折されると,死ぬ思いをします。自転車のブレーキは,自動二輪よりもさらに利きにくいですから,速度がでていなくても,クルマの下に潜り込むことになりかねません。
ただ,自動二輪でのヒヤリ・ハット経験から,「交差点付近で先行するクルマは敵と思え!」と肝に銘じていたため,今までは特に怖い思いはありませんでした。
んが,先日,2009年の走り初めの日に,初詣客でにぎわう鎌倉付近で「ヒヤリ」としてしまいました。
敵(いつの間にか・・・)は,おいらの前方,5mくらいをゆっくりと走っていました。渋滞していて時速10km/hくらいと非常に遅いし,交差点でもない直線道路なので,左側から抜くことにしました。
その瞬間,何を思ったか,敵は急に左折してきたのです。おいらは,換装したばかりの105ブレーキキャリパーをフル制動させ,若干,リアが持ち上がる状態でなんとか止まれました(プチジャックナイフ)。
「なんでこんなところで左折するねん!!」と思ったのですが,その先には「格安駐車場こちら!」の看板を持った,アルバイトのお兄ちゃんが。こいつが,敵の斥候だったか・・・。おみゃ~も,後ろから,超かっこいいロードバイク乗りが迫ってきているの見えたら,クルマの運転手にもジェスチャーしてあげてくれよぉ~(涙)
【教訓】
クルマが左折するのは交差点だけではない。
客乗せのタクシー,駐車場や自宅に入るマイカー,みんないつ左折するかわからない。これからは,前述の掟を「この世のすべての場所で,先行するクルマはすべからく敵と思え!」にグレードアップさせました。
コーナーを出た直後の段差
ロードバイクの場合,60km/hくらいで走っても,そんなに怖い気がしません。安物チャリでは30km/hも出せばガタやブレで怖くなってきますが,ロードバイクの場合,エントリー車であってもそれなりの剛性があり,そもそもがロード「レーサー」と呼ばれていたくらいですから,安定して高速走行することができます。
が! 調子に乗って峠の下り道を60km/hも出していると,思わぬ「ヒヤリ」を体験することになります。
こんなところを超高速で走ってはいけません。(スローシャッターで本当は15km/hくらいです)
RICOH Caplio GX100昨年4月,湯河原方面にツーリングに行ったとき,峠の下り道を例によって60km/hくらいで疾走していました。前方が緩い左カーブになっていたのですが,クルマも全然走っていないし見通しもいいので,ほとんど減速しないでつっこんでいきました。
すると,カーブが終わりきって直線になったところに,道路を横断する形で側溝が走っていて,グレーチングの蓋がされているのを発見! しかも,明らかに2cmくらいの段差があります!(いや,5cmかも)
減速しようにもカーブ中だし(ブレーキしたらたぶん滑って落車),道を横断しているのですから逃げ場もありません。60km/hで段差2cmにつっこんだら,かなりの衝撃になるはず。
わずか一瞬でしたが,生まれてから数十年の人生が走馬燈のようによみがえってきました(嘘)が,『ロードバイクの科学』で学んだ,必殺のジャンプ技で乗り切りました。ビンディングを付けていれば誰でもできると思いますが,しゃがんでいて急に体を立たせれば,高さ10cm,距離で1mくらいはジャンプすることができます。
これで,段差を乗り越えていきました(っていうか,飛んで越えていった)。このときは,かなり「ヒヤリ」としました・・・。
【教訓】
無謀な速度を出さない(おまえはツールの選手ではない)これだけです。
当たり前すぎますが,特に,下り坂のカーブ手前では十分に減速するしかないと思います。毎回毎回,ジャンプで乗り切れる自信もありませんし・・・。(と言いつつ,毎週末の朝ポタでは,たいていジャンプの練習してますが)
まぁ,やはり50km/hがいいとこですね。おいらレベルでは。
ごく普通の直線路でバイクと衝突未遂
週末早朝の朝ポタを終えて家に向かって,緩い下りの直線道路を30km/hくらいで走っていました。
すると,前方30mくらいの左側の測道から,原付バイクが本線に出ようとしていました。ウィンカーが見えたので,右折して出るつもりらしいのですが,こちらが本線ですし,問題なく直進していくと,,,,飛び出してきました,原付が。
とっさに,ブレーキ(このときはTIAGRA)をかけつつ,「バカ野郎~!」と叫びましたが,焦っていたので,「ばぎゃにゃろ~ん$$!&」みたいな変な日本語になっていたかと思います。
結局は,原付の飛び出しは止まらず,おいらは,その左側をすり抜ける形でセーフ。運転していたのはおばちゃんで,「ごめんね~♪」と言いつつ,ゆっくりと去っていきました。
【教訓】
自分以外の乗り物の運転手は,全員目をつぶって運転していると思え!(オーバーか・・・?)
クルマや原付からは,自転車は完全に目に見えない存在になっていると思おう。前方からの投影面積が限りなく0に等しい自転車。遠くにいればいるほど目に見えないでしょうし,まさか,「たかがチャリンコ」が30km/hで走っているとは思えないのでしょう(これでも,だいぶ減速しているつもりなんだけど・・・)
戦国時代の足軽のように,背中に風林火山の旗を掲げて走れば目立つけど,空力面であまりオススメできないので,やはり,「相手からは全く見てもらえていない」「相手は目をつぶっている!」と認識した上で減速運転しましょう。
(おまけ情報)
この点では,同じ目に遭わされる危険性が高い自動二輪のお兄さんの方が,正しくこちらを認識してくれていることが多い気がします(油断はできませんが)
スクランブル交差点での誤解
スクランブル交差点の通過ってどうしていますか? 法律的には,歩行者用信号機のところに「自転車・歩行者専用」と書かれていない場合は,自動車用信号機に従うことになっているはずです。
逆に,歩行者用信号が青の時に渡りたいのであれば,自転車は降りて押してわたらなければなりません。(これは,平成20年6月の道交法改正前の話。今は,「歩行者の通行を妨げる恐れのあるとき」は降りて押して渡ることになっています。一応,神奈川県民なので神奈川県警HPをば)
が,そのルールを知っていないクルマが多い(というか誰も知らない?)ので,自動車側が青の時に一緒に直進すると,「ヒヤリ」する目に遭うことがあります。
幸い,ヒヤリまではいかないのですが,直進したら左折待ちの対向車からクラクションを鳴らされたことがあります。停車して指導してやろうかと思いましたが,それもまた別の「ヒヤリ」に発展するかもしれないので,泣き寝入りしておきました(?)
【教訓】
みんなが交通法規を守ってくれる・知っていると思ってはいけない。
お巡りさんだって歩道を自転車で走るし,平気で2台併走もやっている。相手を信じて直進して跳ねられたとき,空中を飛びながら,「自転車はクルマ用信号に従うのが基本なんだよぉ~」と叫んでも間に合いません。
まとめ
一応は,安全第一のつもりで走っていても,たった3年でこれだけ「ヒヤリ」としています。
最近では,そもそも高速走行を控えるようにしています(50km/h未満)が,やはり,減速すべきところ(カーブ,交差点など)では徹底的に減速することが必要です。
R134は快適だけど,一歩間違えば向こうは崖。気を付けて走ろう~!
RICOH Caplio GX100また,とかく自転車は周囲の乗り物からナメられることが多いので,こちらからのアピールを十分に行った上でも,それでも,「認識してもらえていないかも」と思っていた方が良さそうです。
怪我した後で「向こうが悪いんだよぉ・・・」と言っても始まらない(死んだらもっとダ)ので,まさに「事故責任=自己責任」で安全運転,気を付けていきましょう~!!
- 【2008.1.20修正】
- 最後のトピック,横断歩道の渡り方について,「歩行者用信号が青の時に横断歩道を通る際は自転車から降りて押して歩く」のは,平成20年6月の道交法改正前でした。ごみんなしゃいです。今は,「歩行者の通行を妨げる恐れのあるとき」は降りて押して歩けばいいことになっています。
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