無傷チェーンステーの謎(DH時のギアポジション)

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ツルピカのチェーンステイ。新車に付いてきた保護シールも健在です(^^)

ツルピカのチェーンステイ。新車に付いてきた保護シールも健在です(^^)

SONY NEX-5N + E30mm

おいらの595号は,右側のチェーンステイに汚れや傷がほとんどありません。

一般的に,右側のチェーンステイはチェーンが暴れたときにヒットしやすく,傷がついたり,汚れたりしてしまうのですが,写真のとおり,ピカピカ状態です。

さて,その秘密は・・・?

この記事で紹介しているコツ(ダウンヒル時のギアポジション)は,一般的な入門書ではNGとされている走りです。おいらみたいに,ダウンヒルは全くやる気が無い人には使えそうですが,攻めの走りをするのには向いていません(軽すぎてバランスを崩しそう)のでご注意を!

LGS RHC号のとき

595号とは対照的に,初めてのロードバイクであったLGS RHC号は,いつもチェーンステイがボロボロ状態で走っていました。

LGS RHC号の右脚。いつも,こんな風に傷だらけでした・・・。

LGS RHC号の右脚。いつも,こんな風に傷だらけでした・・・。

Nikon D70 + SIGMA 50mm MACRO F2.8

購入時についていた保護シールは半年でボロボロになってしまい,その後は,BBBの『Clear Skin』というプロテクタを貼って保護していました。それでも,1年もすると頑丈なClear Skinもチェーン傷と,そこに染み込むオイルで汚れてきてしまうので,3年間のLGS RHC号生活では2回ほど貼り替えていました。

それに引き換え,595は乗り始めて丸2年ですが,冒頭写真のように,購入時の保護シールのまま,ほとんどなんの傷も汚れもありません。



カギは「ダウンヒル時のギアポジション」

595のチェーンステイが無傷でいられる理由は,「ダウンヒル時のギアポジション」です。

チェーンがチェーンステイに接触(ヒット)してしまうのは,チェーンのテンションが低いときです。

平地や上り坂で漕いでいるときは,上側のチェーン(=ステイの上)は高いテンションがかかっているので,チェーンステイにヒットすることはまずありません。

一方で,ダウンヒル時はよほど加速しないと,上側のチェーンはスプロケ経由のリアディレイラのテンションしかかからないので,暴れやすい状態になっています。

なので,ダウンヒル時はフロントをアウターにかけて,チェーンのテンションを高めに保つようにしてあげると,チェーンの暴れが少なめになります。

ここまでは入門書にも書いてありますし,普通,ダウンヒルではフロントアウターは当たり前なので,「チェーンステイに傷を付けないコツ」として実用新案を申請するほどのことではありません(笑)

もうひとつ,コツがあることを発見しました。



リアもなるべくロー寄りに

フロントをアウターにするとチェーンテンションが上がりますが,同じように,リアをローにしてあげれば,さらにテンションが上がってくれるため,よりチェーンが暴れにくくなります。

しかし,実はそれよりも,チェーンとチェーンステイの距離が開いてくれる,という大きなメリットがあることが,長年の研究で明らかになってきました。

以下に,

  1. フロントインナー × リアトップ
  2. フロントインナー × リアロー
  3. フロントアウター × リアトップ
  4. フロントアウター × リアロー

の各状態におけるチェーンとステイの間隔を示します。

インナー×トップ状態

1.インナー×トップ状態

インナー×ロー状態

2.インナー×ロー状態



アウター×トップ状態

3.アウター×トップ状態

アウター×ロー状態

4.アウター×ロー状態



ご覧のとおり,ギアの組み合わせによって,チェーンとステイの間隔は大きく差があり,最接近した場合(1)と離れた場合(4)では何倍も差がありそうです。



各ギアポジションにおけるチェーンとステイの離隔距離

チェーンラインを真上から見れば分かりますが,ギアの組み合わせによって,チェーンがステイを横切る位置は異なります。リアがローの時にはクランク付近,逆にトップのときはスプロケ付近で最も近づいています。

その点に注意しながら,各ギアポジションにおける,「チェーンとステイの間隔」をいつものスーパー格安ノギスで測ってみました。

トップの時は,スプロケ側で最接近します。

トップの時は,スプロケ側で最接近します。

SONY NEX-5N + E30mm
ローのときは,クランク側で最接近します。

ローのときは,クランク側で最接近します。

SONY NEX-5N + E30mm





#フロントギアリアギア最接近地点間隔(mm)
1インナートップステイの
スプロケ側
16.2
2インナーローステイの
クランク側
42.5
3アウタートップステイの
スプロケ側
22.1
4アウターローステイの
クランク側
63.5

計測の結果,最も離隔が少ないパターン(#1,インナー×トップ)の約16mmに対し,もっとも離隔が確保できるパターン(#4,アウター×ロー)では約64mmと,約4倍もの開きがあることがわかりました。

6cmもあれば,崖でもダウンヒルしない限りヒットしないと思われます(^^)



まとめ

上記の超精密な(笑)の調査・計測結果が示すように,「アウター×ロー」の組み合わせは,

  1. 前後とも大ギアのため,チェーンテンションが高くなる
    (スプロケ経由のRDのテンション)
  2. チェーンとステイの最接近部分でも十分な離隔距離が稼げる
    (ローだとクランク付近でチェーンとステイが交差する)

という2点の,「チェーンがステイを擦らない度」でとても優位なギアポジションであることが分かりました。

おいらは,ご存知のとおり(?)上りは大好きですが,下りは大嫌い。できれば,世界中の峠から下り坂がなくなって欲しいと願い続けているくらいなので,ダウンヒル時に漕いでスピードを出すなんていうことはまずやりません。

どうせ漕がないのならどんなギアポジションでもいいということになるので,595号になってからは,ダウンヒル時にはアウター×ロー寄りにしています

そう,コレだけのことですが,たったコレだけで,チェーンステイが汚れたり傷がついたりすることはまずありません。
(^^)



ちょっと注意点

先ほど,ロー「寄り」と書いたように,完全にローにはしているわけではなく,2~3速あたりにしていることが多いです。

ダウンヒル時にはほとんど漕がないのですが,左右にバンクするときにペダルを路面にこすらない位置にするように,クランクを少しは回します(実際には,そんなにバンクしていないので不要ですが,気分の問題で。笑)

アウター×ローの場合,間違ってクランクを逆回ししてしまったときに,2速に落っこちることがあります。

本来,クランクの逆回転はご法度ですが,アウター×ローだとほんの半回転でもやると脱落する可能性があるので,念のため,2~3速あたりを使うようにしています。



もっと下りを攻める人には

前述のとおり,おいらはダウンヒルはまったくやる気がなく,「はよ終わってくれ~」と思いながら,ブレーキをかけつつ,ゆっくり下るのみです。

なので,約2年,この乗り方でダウンヒルし続け,今まで特に問題は起こっていません。

しかし,下りも攻めるぜ!という人は,もっと重たいギア(7~10速)にしておかないと,ギアが軽すぎてバランスを崩す恐れがあります。

転んでしまったら,「チェーンステイの傷」どころじゃありませんから,下りも攻める方は,ちゃんと重たいギアにしておくことをオススメします~


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2012年02月21日 | カテゴリ:  その他 | ID: 10262
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