ParkToolのスポークテンションメーター「TM1」

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自転車マニアへの入り口?

自転車マニアへの入り口?

Nikon D70 + Nikkor 35mm F2D

今,おいらは「普通の自転車乗り」と「マニアな自転車乗り」の分かれ道に立っています。

それというのも,こんな代物を購入してしまったからです。

ParkToolのスポークテンションメーター「TM-1」です。

あんたはとっくに自転車マニアだろ!」という声が聞こえてきそうな気もしないではないですが,おいらは基本的には買ってきたパーツをくっつけているだけなので,まだまだ「普通の自転車乗り」と自負しております(だめ?笑)

今回購入したスポークテンションメーターは,名前の通り,ホイールのスポークのテンションを測るメーターです。

今まで,スポークのテンションなんて,全く気にしたことがありませんでした。しかし,MV32T ULの細~いスポークを見て,「このホイールをずっとメンテナンスしていく」ということを考えると,どうしても基本であるテンションの管理してみたいと思うようになりました。

まだ新品のホイールですから,リムのぶれや,テンションのばらつきはほとんど無いはずです。であればこそ,この「ほぼ完璧な状態」を記録しておく必要があると思ったのです。

というわけで,予想外のバーゲンセールで買えたMV32T ULのおつりで,テンションメーターも購入したのでした(^^)


スポークテンションメーター「TM-1」

TM-1は,非常に簡単な構造の測定器です。

一般的に,スポークは非常に高いテンション(数十~百数十kgf)がかかっていて,リムとハブの間にぴーんと張っています。

縦方向(円心方向)には強いテンションがかかっていてビクともしませんが,横方向からの力には滅法弱く,小さな力でも簡単に「たわみ」が発生します。この「たわみ」を定量的に測定するのがTM-1です。

「たわみ」の量は,下記の4要素で決まると思われます(気温とかはとりあえず無視して)。

  1. スポークを押す力
  2. スポークの材質(アルミ,鉄)
  3. スポークの太さ(mm)
  4. スポークのテンション(kgf)

このうち,1.は測定器によって一定に保たれていますし,2.と3.はホイールのスペックで事前に分かります。

となれば,たわみ量から4.のスポークテンションを計算で出すことができるのです。

「計算で」と書きましたが,TM-1では,スポークの材質と太さ,たわみ量からテンションを算出する換算表が付いてきますので,この表で読みとります。

こんな,測定値→テンション換算表が付いてきます。右の丸っこいのは,テンションの直径を計るためのゲージです。

こんな,測定値→テンション換算表が付いてきます。右の丸っこいのは,テンションの直径を計るためのゲージです。

Nikon D90 + TAMRON 17-50mm F2.8
説明書には「精密な測定器」と書いてありますが,なんとも原始的な感じが・・・(^^)

説明書には「精密な測定器」と書いてありますが,なんとも原始的な感じが・・・(^^)

Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D

本当は,本家DT Swiss謹製のデジタル式メーターなどが欲しいところですが,原理的にはTM-1も同じですから,面倒がらず換算表を使って,スポークテンションを測ることにしました。

お値段だって,数分の一の10k円ですから(^^)

早速測ってみる

早速,MV32T ULのスポークテンションを測ってみました。

測定は下記の手順で行います。

  1. TM-1のグリップを握る
  2. 測定部を対象のスポークに当てる
  3. グリップの手を離す
  4. (スポークにTM-1からの力が加わり,たわむ)
  5. 測定値を読みとる

これを,スポークの本数分繰り返します。

文面で書くと面倒くさそうですが,下記の写真の通り,とても簡単な測定で,1本あたり5秒もかかりません。

グリップを握り,測定部(スポークに力をかける部分)をスポーク当てます。

グリップを握り,測定部(スポークに力をかける部分)をスポーク当てます。

Nikon D90 + TAMRON 17-50mm F2.8
グリップから手を離すと,測定部がスポークにムギュ~っと押し付けられます。

グリップから手を離すと,測定部がスポークにムギュ~っと押し付けられます。

Nikon D90 + TAMRON 17-50mm F2.8
こんなにたわみます(これは,DT aeroliteスポーク)

こんなにたわみます(これは,DT aeroliteスポーク)

Nikon D70 + Nikkor 35mm F2D
測定用の針の支持値を読み取ります。これだと,「21.5」かな?

測定用の針の支持値を読み取ります。これだと,「21.5」かな?

Nikon D70 + Nikkor 35mm F2D

ただ,スポークは本数がありますから,ホイール1個分(MV32T ULの場合,F=20,R=24の合計44回)やると,10分くらいはかかりますが,楽しいから許しましょう。
(^^)

「たわみ」→「テンション」の換算を簡単に!

先述の通り,TM-1で読みとった測定値(=たわみ量)から,換算表を用いてテンション(kgf)を出すのですが,数が多いと面倒くさい上に,数字と数字の間では推定するしかありません。

TM-1の目盛は1cmくらいで彫られているのですが,1mm間隔で補助目盛も付いています。

なので,測定値は「2.3」とか「5.2」という数字になるのですが,換算表の方は「2」や「5」といった整数値しか載っていないので,自分の頭の中で「こんなもんかな~」という数字をはじき出してやる必要があります。

換算表の縦軸(測定値)は整数値なので,「5.2」とかのときは,脳内で適当な計算をしてやらないといかんのです

換算表の縦軸(測定値)は整数値なので,「5.2」とかのときは,脳内で適当な計算をしてやらないといかんのです

Nikon D90 + TAMRON 17-50mm F2.8

せっかく,測定値はエクセルの表に記入しているのに,テンションは手計算というのはバカバカしすぎです。

そこで,「測定値→テンション」の変換式を作ってみることにしました。



【手順1】目的のスポークのスペックを調べる

手計算の時(=換算表を使うとき)も同じですが,計測対象のスポークの,材質と太さ,形状(丸 or エアロ)を調べます。

MV32T ULの場合は,本ブログ内の紹介記事へ本家のサイトに全ホイールのスポークスペック(使用スポーク,標準テンション)が公開されています。

これによると,リアのスプロケ側だけDTのCompetition1.8mmで,それ以外はすべてDTのAeroliteの2.3mm×0.9mmです。トルクがかかるところだけ,太めのスポークになっています(2011年モデルは,全スポークともAeroliteになったそうです)。

いずれも,材質は鉄です。

スポークのスペックが分からないときは,付属のゲージで太さが測れます。ま,ノギスでも同じですが(^^)

スポークのスペックが分からないときは,付属のゲージで太さが測れます。ま,ノギスでも同じですが(^^)

Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D



【手順2】換算表の該当部分をエクセルに入れる

換算表の中から,「鉄の丸1.8mm」と「鉄のエアロ0.9mm」を探しだし,内容(測定値・テンション)を全部エクセル表に書き写します。



【手順3】グラフにする

横軸を測定値(=たわみ量),立て軸をテンション(kgf)として散布グラフを書きます。

換算表の数字を入力し散布グラフにします。<br />左側がAerolite,右がCompetitionです。

換算表の数字を入力し散布グラフにします。
左側がAerolite,右がCompetitionです。



【手順4】近似曲線を追加する

描かれたグラフを見ると,比線形なのでとても手計算では式は出せそうにありませんので,エクセル様にお願いします。

描かれたカーブを右クリックし,「近似曲線の追加」を選択します。

なるべくシンプルで,それでいてほぼ値をトレースできる近似式がいいのですが,「3次多項式」を使いました。2次ではトレースしきれませんでしたが,3次にすれば,ほぼ完璧にトレースできていました。



【手順5】式を表示させて完成(^^)

近似式のオプションに「グラフに数式を表示する」がありますので,これをONにすると,近似式の数式が表示されます。

これが,夢にまで見た(笑),「TM-1の読み値」vs「テンション」の関係式です。

完成!(^^) 赤がAerolite,青がCompetitionの特性グラフと計算式。

完成!(^^) 赤がAerolite,青がCompetitionの特性グラフと計算式。


この式を元にすれば,任意の読み値からテンションを一発で計算できます。

もちろん,エクセルでやっているのですから手計算の必要はなく,テンションを表示したいセルに,上記の式を記入しておけばOKです!

お~,なんという省力化(^^)

(いや,みんなやっているか・・・?)

お待ちかねの(?)測定結果

というわけで,多少寄り道しましたが,MV32T ULの測定結果は以下の通りです。

MV32T ULの測定結果。リアの反フリー側の「ばらつき」がちょいと気になる。

MV32T ULの測定結果。リアの反フリー側の「ばらつき」がちょいと気になる。

フロント,リアともにテンションのばらつきはだいたい10%に収まっています。ほっ。

リアの反フリー側のばらつきが大きいですが,こちらは,テンションがかかる側ではないですしReynolds社によると,「RearのL側のspreadは250N以内」と書かれていましたので,大丈夫でしょう。

テンション調整の必要性が出てくるのは,ずっとずっと先のことでしょう。それまでは,ちょいちょいTM-1でテンションを測っては,自分のテンションも上げていこう! (このダジャレが言いたかっただけか・・・?)

おしまい。


【おまけ&なぞ】

ついで(と言ったら怒られますが)SHAMALも測定しておきました。

こちらは,スポークの正確なスペックが公開されていないので,ノギスで測ったところ,1.5mm×3.9mmのエアロ形状スポークでした。材質はアルミでございます。

で,測定した結果はこんな感じ。

いくらなんでも,200kgf超えはおかしいと思うんだけど・・・。

いくらなんでも,200kgf超えはおかしいと思うんだけど・・・。

鉄(ステンレス)と違って高いテンションであることが予想されたのですが,いくらなんでも,リアのフリー側は高すぎです。200kgfでは,スポークは切れるし,リムも壊れてしまうのでは?? (ついでに,おいらのケツも壊れると思う)

念のため,換算表に立ち戻ってみても,やっぱり200kgf前後の値になります。サイズも合っているし,なにが間違っているんだろう?

ひょっとして,未知の材質で作られているとか? とりあえず,磁石はくっつかなかったので,鉄では無いと思うのですが。謎です・・・。


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原始的だけど,結構楽しい♪

2011年02月23日 | カテゴリ:  工具 | ID: 9971
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