ISP,この手間多きもの
赤い帯(エラストマー)の下にある黒い帯が調整用スペーサーです。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2Dすでに一部で情報がリークされていますが(笑。自分だし),昨年末あたりから,595のサドル高さを微調整しています。
LOOK595のシートポストはインテグラル・シート・ポスト(ISP)タイプ。
フレーム単体で購入,自分で組み立てるときにぶった切って以来,ほとんど手を付けることが無かったISPですが,実際にいじり始めてみると・・・。
もうちょっと高くしたいのです
おいらの体のジオメトリ(笑)は,身長175cm,股下80cm,体重55kg,ローン&妻子もち,42歳のサラリーマンです(後半は関係ないけど)。
595の前に3年ほど乗っていたLGS RHC号では,サドル高さ(BB~サドルトップ)は72.5cmにセットしていましたが,ISPは短く切りすぎるとフレーム丸ごとご臨終になるため,ちょっと高めの73.0cmになるようにISPをぶった切りました(そのときの様子はこちらを参照)
カーボンフレームにのこぎり。思い返しても,おっそろしい作業である・・・。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2Dしかし,それから約2年。
平地を595号で流しているようなときに「もうちょっと高いほうがいいなぁ」と思うことが増えてきました。
そこで,久しぶりに股下を測ってみたら,なんと81cmであり,1cmほど成長していることが判明しました。たぶん,計測した時刻(朝は長い,夜は短いのが普通)の差とかなんだと思うのですが・・・。
さらに,サドル高さは73.0cmのはずなのに,これも測りなおしてみると72.3cmしかないことが判明。
どうも,おととしの夏にサドルをカイマノからSLRに交換したことで,7mmほど下がってしまっていたようです(ちゃんと測っておけよ>自分・・・)
ど~りで足付きに余裕があるわけだ。やっぱり1cmくらいは高くしたいな~
面倒くさいよ,ISP!(特にLOOKの)
595のISPはフレームセットに付属するスペーサーをはさむことで,最大30mmまで長さを延長する微調整ができます。
最初に購入したときに30mm以上短くポストを切断した場合には,ご臨終となってしまいますが,今回のように10mm程度であればスペーサーでなんとかなります(見栄えは悪くなりますが)。
ところが,LOOKのISPでサドル位置を調整するのはとても面倒であり,実際に10mm高くしようとした場合の手順は以下のようになります。
- 【手順0】サドル位置を計測する
- 次の手順1でサドルを外してしまうので,サドル位置(後退幅,角度)を再現できるように,念のため計測しておきます。
- 【手順1】サドルを外す(驚!)
- サドルをヤグラに固定しているボルトを緩め,サドルを外します。こうしないと,手順2のボルトが緩められないのです・・・
サドルの高さ調整なのに,なんでサドルを外さにゃならんのだ・・・。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D - 【手順2】ヤグラをはずす
- ヤグラをISPに固定しているボルトを緩め,ヤグラを丸ごとISPから抜き出します。
このボルトにアクセスするために,サドルを外さなければならないのでした。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2Dようやく,ヤグラ部を引っ張り出せます。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D - 【手順3】ヤグラの固定部をバラす(驚!)
- スペーサーをヤグラにはめ込んでやるため,いったん,ヤグラの固定部を完全にバラします。
固定ボルトを緩め,赤(ゴム),黒(プラ)のパーツをばらばらにします。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D - 【手順4】お好みのスペーサーをヤグラにはめ込む
- やっとかよ・・・
- 【手順5】フレームの取扱説明書を読む(笑)
- そろそろわけが分からなくなってきたので,フレームの説明書を探してきて,組み立て方を調べます。
- 【手順6】ヤグラの固定部を組み立てる
- サドルに近い側から,スペーサー,エラストマー,プラ,ゴム,プラ,ゴム,キャップの順に装着します。
やっとこ,10mmスペーサー込みで差し込めます。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D - 【手順7】ヤグラをISPに固定する
- ヤグラをISPに差し込み,固定用ボルトをおっかなびっくり締めていきます。なぜ,「おっかなびっくり」かは後述です。
- 【手順8】サドルを固定する
- サドルをヤグラに固定します。当然,調整前と同じサドル後退幅になるよう,また角度(おいらは水平)も変化のないよう,微調整しながら固定用ボルトを締めます。
サドル位置を復元せねば・・・。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
こんなこともやらなきゃならない・・・(泣)
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D - 【手順10】疲れたので寝る
- 走りに行く気合は失せてしまっているので,おやつを食べたり,昼寝をしたりします
やっとこ完成。なんなんだ,この手間は・・・。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
なんだ,なんだ,このものすごい手間は!!!
普通のポスト(RSP;レギュラー・シート・ポスト)であれば,ボルト1本で5分以内に調整ができます。もちろん,出先での調整も簡単です。
それが,595のISPときたらどうでしょう,この手間は。出先にフレームの取扱説明書なんて持っていかないよ!(笑)
説明書は冗談としても,こんなに手間がかかるなんて,道端でサドル高さ調整なんてとてもできません。
しかも,「手順7」は非常に難しい,最大級の難関なのです・・・。
「手順7」の難しさとは・・・?
手順7は,「ヤグラをISPに固定する」というものなのですが,なにがそんなに難しいのでしょうか。また,なぜ,「おっかなびっくり」なんでしょうか・・・?
それは,フレームを破損してしまう恐れがあるというのと,固定ボルトの締め付けトルク管理が難しいからです。
ヤグラの固定部の写真を見ると分かるのですが,ヤグラの固定ボルトを締め付けると,ISP内部に差し込まれた「ヤグラ固定部」のゴム部分が縮まって膨らむようになっています。
この,ISP内部から外側に膨らむ力によってヤグラが固定されているのです。
スレッドタイプのフォークのような固定方法です。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2Dこれの何が難しいかというと,固定ボルトのかけたトルクがそのまま締め付けに使われるのではないため,「これくらい締めておけばよかろう」という感覚がほとんど得られないというところです。
普通のRSPであれば,ボルトにかけたトルクはそのまま固定力に直結していますが,595のISPは内部で膨らむゴムの力が固定力であり,かけたトルクとゴムの膨らみ量は(少なくとも素人には)まったく想像がつきません。
実際に作業してみると分かるのですが,ふにゃふにゃしたゴムを圧縮する作業ですから,いつまで回しても「硬くなってきた」という手ごたえは得られず,どのくらいで締め付けをやめていいのか判然としません。
実際,08年モデル(だったと思う)まではトルクをかけすぎてISP部分を破損(=フレーム全損)してしまう人がプロショップも含め多数いたみたいで,それ以降は,ISP部分のフレーム肉厚を増やして強度を増しているようです。
一歩間違えると「フレーム全損」という,恐ろしい作業です・・・。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D一応,適正トルクは「Max.5Nm」となっているのですが,おいらは2Nmで固定しています。最初のころは1.5Nmくらいで運用してたら,徐々に抜けてきたことがあったのですが,2Nmを採用してから約2年,落ち着いています。
しかし,今でもこの作業をするときは,「いま,ISPが『ピキッ』っていっちゃったらどうしよう・・・」とびくびくしながら,まったく締め付け感が得られないボルトを回しています。
さすがに2Nmなら全然大丈夫なんでしょうけど,なんとも精神衛生上良くない作業である上,トルクレンチが無い出先では絶対にやりたくない作業です。
まとめ
ISPには「剛性が上がる」とか「空力が良くなる」などという迷信(笑)がありますが,やっぱり,最大のメリットは「見た目が格好良くなる」でしょう。
以前に比べて,ちょいとサドルが高め。格好良くなった・・・?(^^)
SONY DSC-TX10 + Carl Zeiss Vario-Tessarあと,自分以外の人は乗れなくなるという,シャア専用的な効果も期待できます(笑)
これらのメリットを享受しているのだからやむを得ないところもあるのですが,それにしても,595(というかLOOK)のISPは調整が面倒すぎます。
これは,やっぱり,専属のメカニックが付いているプロ専用マシンであり,ご近所のJAスーパーまで595で出かけているような子持ちサラリーマンには不向きということかもしれません(笑)
とかなんとか言いながら,実は超お気に入りでして,ぶーぶー文句を言いながらも0.5cm,0.75cm,1.0cmといろいろ試している,年の初めです。春までには確定したいな~。
おしまい。
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