究極のドライオイル,イノテック(innotech)105 -導入編
梅雨時にやる作業じゃないのかも。乾かないのなんのって・・・。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2Dしばらく前から,フォトポタ日記にチョイチョイと顔を出していた,イノテック(innotech)の105。
とんでもなくドライで汚れにくいオイルとして,あちこちで話題になっています。
長年,「より汚れなく,手間のかからないオイル」を探してきた,ずぼらなおいら。
究極に手間のかからないオイルらしい,イノテック105の実力やいかに!?
イノテック105導入作業
- パーツ類(チェーン・クランク・スプロケ)を完全に脱脂するのが大変
- 煮込むと完璧だけど,そこまでするバカはいない
- オイルの匂いが独特で,人によっては辛いかも
innotech 105(イノテック105)とは?
まず,正しい商品名ですが(そこから?),独イノテック社の「105」というオイル製品群のことのようです。
おいらが購入したのは,こんなブツ(↓)だったので,ずっと「Refill」というのが商品名かと思っていましたが,これは,105の補充(refill)用ボトルという意味でした。
innotech社の,「105」というオイルの,リフィルでした。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
あんまり自転車雑誌等を読んでなく,イノテック105の詳細が分からないので,輸入代理店のサイトを調べてみると,「ネットでイノテック105って検索してみてね♪」という,超他力本願なコピーが書かれていてぐったりしかけます。(下手すると,フォトポタ日記も出てくるんじゃ・・・)。
ネットで見てみよう!って,ずいぶん,他力本願な・・・(笑)
・・・,気を取り直して,よく読んでみると,イノテック105は以下のような特徴があるそうです。
- 超ドライな皮膜を形成
- 34%の摩擦低減,寿命が3倍に延伸,メンテナンス回数も激減
- 塗って,洗って,乾かすだけの簡単施工!
- 耐水性が高く,MTBやシクロクロスでもどんと来い!
- BMWやAudiなどでも使用されている
まぁ,何と比べて34%低減なのか,誰の寿命を基準にしているのか,BMWのどこに使われているかも分からない(ドアノブだったりして),この手の広告はそれこそ50%は割り引いて読む必要がありますが・・・。
代理店の紹介を見たとたんに猜疑心満載になってしまいましたが,少なくとも,今までのオイルと違い,桁違いに頑丈・ドライな皮膜形成するタイプのオイルのようです。
また,代理店さまが推奨する通り,ネットでの評判を調べてみると,
- 潤滑性能はかなりよろしい
- まったく汚れない
- 施工はかなり面倒くさい&臭い
- 耐久性は言うほど高くない
というのが大方の見方のようです。
さてはて,どんなもんでしょう?
モ~レツに大変な施工
巷では,「とにかく施工が大変」と言われているようですが,やっぱり,結構大変でした・・・。
【ハードル1】完全な脱脂って意外と難しい
イノテック105を施工する上で,最も大事なことは,「パーツの完全な脱脂・乾燥」です。
普通のオイルでも,新たに塗る時は,以前のオイルをパーツクリーナーやデグリーザーで除去しますが,イノテック105では,これらのケミカル成分自体も完全に除去しなければなりません。
また,チェーンだけではなく,スプロケ,プーリー,チェーンリング,すべてを完全に脱脂してあげる必要があります。
「完全に脱脂してください」と言われても,チェーンを完全脱脂するのって,コマ間やピン内の汚れまで考えると,かなり難しい作業です。
幸い,今回は新品チェーンでの施工なのでゴミ・汚れは無いのですが,新品チェーンには錆防止のためのオイルが塗りこまれているので,こいつを除去してやる必要があります。
また,インナーも含めたチェーンリングを掃除するためには,クランクを分解してやらないとできませんし,リアディレイラのプーリー,スプロケも同様に分解・取り外してやる必要があります。
チェーンリング,チェーン,スプロケ30枚。写真には写ってないけど,プーリー2個も洗浄。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D洗浄方法は人によっていろんなやり方があると思いますが,今回のおいらは,以下の手順で脱脂することにしました。
- クランク,ディレイラプーリー,スプロケ(3セット)を分解
- ウェス等で大まかにゴミを除去(チェーンリング,プーリー,スプロケ(30枚・・・))
- 灯油にドブ漬けしてブラシでゴシゴシ(全パーツ)
- 中性洗剤で水洗い(全パーツ)
- 煮沸(全パーツ)
- 乾燥(全パーツ)
他の手順はさておき,5番目の「煮沸」の工程がすごいでしょう?
チェーンリング×2個,スプロケット×30枚,チェーンの全てを順番に煮込んでみました(なんとなく,プーリーはやめました)。
幸い,昔,空焚きをしてだめにしたル・クルーゼの鍋(ダメにしたのはおいら。計画的か?)が捨てずに保管してあったので,コイツにパーツを入れてグツグツ煮込みます。
チェーンリングを中性洗剤で洗っているところ。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2Dで,煮込む(笑)
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2Dチェーンも煮込む。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2Dスプロケも30枚煮込む。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D灯油洗浄&水洗いだけでも十分にきれいになっていた気がしましたが,鼻を近づければ,灯油の臭いがしていました。
しかし,さすがに1パーツ10分も100℃で煮込んでやれば,あらゆる油分は浮かび上がってきて,パーツはキレイさっぱり,完全に脱脂できました。
しかし,こんな作業をキッチンでやっていたところを見つかったら,獄門磔(ごくもんはりつけ)になること間違い無しなので,犯行がばれないように,ツマが帰ってくる前に,鍋や食器置き場のチェーンリングなどを片付けて,脱脂作業完了です!
やばい! 早く片付けろ!(笑)
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
【ハードル2】イノテック105を乾かすのって大変
完全にパーツを脱脂・乾燥したら,いよいよイノテック105を塗り塗りします。
普通,オイルを塗るときは,1コマずつ丁寧に塗っていくのが最良とされています(おいらは超精密スポイトを使っています)。
が,イノテック105はどうせ超ドライなので,汚れを気にせず全面的にジャバジャバと塗りこんでいくのが正しい使い方。
代理店が言うとおり,ジャバジャバとぶっ掛け,塗りこみます。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2Dスプロケにもジャバジャバ。しかし,今考えると不要だったような・・・?
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2Dチェーンリングにもジャバジャバ。やっぱり,不要だったのかも・・・?
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D塗布後には,新たな問題に直面。
パーツクリーナーや普通のオイルのケミカル臭って,奥さま方には評判は悪いとは思いますが,作業している本人達はそんなに気にならないと思います(むしろ,いい気持ちになることすら・・・)。
ところが,イノテック105の臭いはかなりキツく,室内で塗布作業をやったら間違いなく打ち首になります。
ジャバジャバ完了後のチェーン。ものすごくくさい・・・。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2Dなので,家の外で施工したのですが,問題は「イノテック105は乾燥にとても時間がかかる」こと。
晴れた日に干しておけば,半日~1日程度で乾ききるようですが,コレだけ大漁大量のパーツを干せる場所といえば,我が家ではベランダしかありません。
ベランダに,こんな猛烈に臭い物を干しておいたら,問答無用で銃殺刑になるところです(我が家はどんだけバイオレンスなのだ?)
そこで,思いついたのは「外の物置」。
こんなこともあろうと(?),我が家には秘密の小部屋があるのです。
Panasonic LUMIX GM1 + G VARIO 12-32mm F3.5-5.6我が家には,自動車タイヤやラジコンなどを格納すべく,家の外部をくりぬいた物置があり,基本的においら(と子供)以外はアクセスしない場所なので,悪臭を放つパーツ類を干すには最適です。
日が当たらないという欠点もありますが,どうせ季節は梅雨で表に出していてもたいして変わらないでしょう。
一応,USB扇風機で風を当て続けることにして,こんな風に突っ張り棒を渡して,悪臭パーツ達を干すことにしました。
こんな風につるして,下から扇風機であぶっておきました。
Panasonic LUMIX GM1 + G VARIO 12-32mm F3.5-5.6しかし,やっぱり,お日様が当たらなかったせいか,乾燥する速度が遅いのなんの・・・。
土曜日に施工(分解・鍋煮沸・オイル塗布)したのですが,触っても大丈夫なくらいに乾燥したのは5日後の木曜日。
まぁ,どうせ平日は乗らないから関係無いのですが,もうちっと速く乾いて欲しいところです。
乾燥し終わると,例の悪臭はほとんどしなくなり,ようやく室内持込が可能になりました。ホッ。
施工・乾燥後のチェーン。さらさらで,まったく手にベトつかない。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
施工を終えて・・・
はっきり言って,疲れました。クソ疲れました・・・。
クランクをばらし,スプロケット30枚をばらし,リアディレイラをばらす。
全部を洗浄して,煮込んで,105を塗って,5日間も乾燥させる。
で,当然ですが,リアディレイラを組み立て,スプロケットを組み立て,クランクを組み立て,チェーンを張って歓声完成。
施工・乾燥後のチェーン。さらさらで,まったく手にベトつかない。
SONY NEX-5N + Carl Zeiss Vario Tessar T* E 16-70mm F4 ZAまぁ,「超ドライで汚れがつかない環境」ができると思えば苦労も報われますが,これで,ほんの数週間で汚れだしたりした日には,そのガッカリ感は,初めてマーライオンを見たときを上回ると思います。
1週間にわたる作業での反省点・疑問点は以下の2つ。
- 【やっぱり日干しが良さそう】
- 日陰の物置では,乾燥するのに5日もかかってしまいました。やっぱり,日干ししたほうが良さそうです。でも臭いがなぁ・・・。
- 【スプロケやチェーンリングって塗る必要あるのか?】
- 代理店サイトや各種ネット情報では,スプロケやチェーンリングもジャバジャバと105を塗っているのですが,良く考えると不必要な気が・・・。そもそも,オイルってのは,チェーンの各コマ間の潤滑のためで,チェーンリングやスプロケは関係ないような気がします。スプロケの側面なんて何にも関係ないし。どうなんだろ・・・?
と,若干の不安や疑問を残してはいますが,とりあえず施工完了。
施工手順を書いているだけで疲れてしまったので,効果の方は次回に!(悪くないですよ♪)
(つづく)
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