Eliteの真空断熱ボトル「DEBOYO(デボヨ)」 ※冬評価のみ
熱湯をそのまま注げるボトルは貴重な存在。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2Dロードバイクに乗ると,ものすごく喉が渇きます。
夏も冬もドリンクは欠かせないのですが,いずれの場合も,適温で運ぶのはなかなか難しいものです。
夏場はすぐぬるくなってしまいますし,冬のライドでは,そもそも熱い飲み物を何に入れていって良いのかすら,良く分かりません。
おいらは,普段はPOLAR(ポラー)を使い,どうしても適温で飲みたいときはサーモスの保温マグを使っていましたが,新たに,自転車専用のElite『DEBOYO(デボヨ)』を導入してみました。
定番ボトル,POLAR(ポラー)の悩み
自転車乗りの間で,ドリンクボトルの定番は「POLAR(ポラー)」です。
2重構造となっていて空気層で保温する仕組みで,おいらは過去に3個買い,現在は2個保有しています(1個がなくなった理由は後述)。
しかし,広告で言うほどの効果があるのか?というと,なんとも微妙なところでもあります。
- 保冷力はそんなに無いよ
- 真空断熱の「魔法瓶」に比べてしまうと,空気断熱の保冷力はお話にならないくらい弱く,1時間も走ればドリンクはぬるくなってしまいます。ドリンクを凍らせておくという技が一般的ですが,結露で自転車が濡れてしまう,好きなときに好きな量飲めないという新たな問題が発生します・・・。
- 冬場は全く対応不可
- 非耐熱のブラスチック製なので,熱い飲み物を入れることができません。初代のポラーは,熱湯(紅茶)を注ぎ込んだところ,グニャ~と変形してしまい,お星様になってしまいました。最初からぬるめに冷まして入れればいいのですが,保温力が低いですから,少し走ればすぐに冷え切ってしまいます・・・
結局は保冷能力の低さが原因で,夏も冬もイマイチになっている状況です。
特に冬場については,人によっては冷たいドリンクを入れて走られているようですが,極度の寒がりのおいらは熱い飲み物(紅茶,ゆず茶,レモネード等)が無いと,寒さで死んでしまう恐れがあり,耐熱のドリンクボトル確保は死活問題です。
Eliteの保温ボトル「DEBOYO(デボヨ)」登場!
フルメンテ2013の消耗品購入のどさくさで(?),Eliteの保温ボトル「DEBOYO」を買ってみました。
こいつは,普通の魔法瓶と同様,真空2重構造となっているので保温能力はかなり高そう。デボヨの特徴は以下の通りです。
- 名前が変(それかよ・・・)
- デボヨって,なんなのヨ。変なのヨ。
- 高い保温能力
- 前述の通り,真空2重構造による断熱なので,一般的な魔法瓶と同等の保温能力があります。カタログでは「最長12時間の保温能力」とうたわれています。
- ホットドリンクOK!
- ステンレス製なので,熱い飲み物も問題なく入れることができます。レモネードやお茶はもちろん,おしるこやカレーうどんだって,どんとこいです(絶対にダメだと思います)
- 2種類のキャップが同梱
- 普通のドリンクボトルと同じノズル付きキャップと,ノズル無しキャップの2種類が入っています。前者は自転車に乗るときに使いますが,後者をつければ日常生活でも使えるという2wayなのです。
- 自転車専用品の強み
- 自転車専用ですから,もちろん,一般的なケージにフィットするサイズ(直径74mm)です。また,内容量は手ごろな500ml。重量はちょっとあって,310gほどあります。
ホットもコールドもOKで,保温力は高い。
普通のボトルと同じ飲み口なので,走りながらも飲める。
ノズル付きと,ノズル無しの2種類の蓋が付いてきます。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2Dもう,良いことずくめジャン!
・・・,と思ったのですが,そうは甘くないんだなぁ。
冬場だけ使用の暫定評価→イマイチ
夢のドリンクボトルとして登場したデボヨですが,2週間ほど使った現時点では,
「う~む,どうなんだろ?」
といったところです。
どんなところが,「う~む」なのかと言うと・・・?
熱湯で火傷するかも(っていうか,火傷した)
普通のボトルと同じようにキャップを引き上げて飲むのですが,中の熱湯が舌の上に直接注がれます。
これはもう,人間という生き物の構造上,どうにもならない課題かもしれません。
ストローでホットコーヒーを飲むようなものなので,どうしても,火傷してしまいます。
冷水にはちょうどいいのだけど,ここから熱湯が噴出してくると・・・。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2Dまた,ゆっくりとチビチビ飲むという工夫をしてみたのですが,傾けた途端に勝手に勢い良く熱湯が舌の上に注がれ,やっぱり火傷してしまいます。
DEBOYOはケースが変形しなので,普通のボトルのように握って出すのではなく,ノズル横の空気抜き穴により「傾けるだけで出る」仕組みなっているためです。
こんな実験をやっていたら舌が何個あっても足りないので,ノズル付きは諦め,ノズル無しのキャップに換えれば,普通の魔法瓶のように「ふ~,ふ~」しながら飲むことができました。
しかし,これでは,自転車専用ボトルにしている意味が無いような・・・。
保温能力に疑問符?
ポラーに比べれば保温能力は圧倒的に高いのですが,サーモスなどの保温ボトルに比べると,その能力は一段低いと思います。
ステンレスの真空2重構造というのは,どこのポットも似たようなものでしょうから,実は,蓋の部分に問題があるのではないか?と睨んでみました。
蓋の部分の断熱性が弱いので,上部で冷やされて対流し,効率よく(?)冷えていってしまっているのかもしれません。
ためしに,ノズル付きキャップとノズル無しキャップ,さらに,サーモスの3者で保温能力を比較してみました。
80度のお湯でスタートして,窓際で扇風機をガンガン回して走行時と同じ状況にして,時間経過と温度変化をプロットしてみました。
実験開始! うわぁ~,レンズが曇る!(笑)
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D実験風景。窓際のミニ扇風機で冷却中。外気温は10℃ほど。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2Dノズル付き蓋は保温力はかなり低いです。ノズル無し蓋はがんばるけど,サーモスには及ばないなぁ・・・。
グラフのとおり,ノズル付きキャップはかなり急速に冷えてしまっています(降下率は-15.1℃/時)。
一方,サーモスの保温力(-4.8℃/時)には及びませんが,ノズル無しキャップだと保温力はかなり改善されています(-7.7℃/時)。広告の「最長12時間の保温能力」が何を言っているのか分かりませんが・・・(100度でも7℃まで下がっちゃうじゃん)
イタリアンクオリティー
まぁ,これはいつものこと(?)ですが,イタリアン品質なつくりが見え隠れします。
ノズル無しキャップを使おうとしたら,ご覧のとおり。
外装と分離しちゃいました。良く見ると,内蓋の断熱材も中途半端な形状・・・。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D内蓋と外装があっさりと分離してしまいました。
接着面を見ると,ほ~んのすこしだけ接着剤が塗られていて,ぜんぜん効いていませんでした。
しょうがないので,セメダインの耐熱接着剤で固定しなおしておきました(^^;)
まとめ
結局,ノズル無しキャップを付けて,啜るようにして飲むのが一番いいみたい(^^)
Nikon D600 + Nikkor 24-70mm F2.8まだ冬場にしか使っていないのですが,手持ちのサーモスと比べて「こりゃぁ便利だ!」というレベルではありません。
ノズル付きキャップでは火傷をしてしまうので,ノズル無しキャップを使うのですが,これだと,走りながら飲めるというメリットはなくなります。
そうなると,より保温能力が高いサーモスボトルに軍配があがります(一応,片手で飲めますし)。
項目 | DEBOYO ノズル付きキャップ | DEBOYO ノズル無しキャップ | サーモス |
---|---|---|---|
保温能力 | 低 | 中 | 高 |
走りながら飲める | 可 (火傷します) | 不可 | 可 (啜れます) |
とまって飲める | 可 (火傷します) | 可 (啜れます) | 可 (啜れます) |
ケージへのフィット感 | 最適 | 最適 | 細過ぎ (保温ケースで改善) |
ただ,自転車専用品というだけあって,ケージへのフィット感は抜群で,この点ではサーモスを大きくリードしています(サーモスの場合,ボディが細過ぎるので,保温ケース(袋)などで着膨れさせてやる必要があります)
さすが,自転車専用品だけあって,ケージへのフィット感は抜群です。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2Dしかし,冬の使用に限って言えば,普通にサーモスを使っていたほうがメリットが大きそうです。
夏の保冷能力,ノズル付きキャップの使いやすさに期待を残し,半年ほどお休みいただくことになりました。
2014年の夏には頼むよ~ん。
ケージにジャストフィットな使いやすさと,熱湯入れてもふたを開けて「すする」ことができるのは,意外と便利です。
サーモスは保温力がありすぎて,あらかじめ冷やして入れないと飲めませんが,DEBOYOは熱湯を入れてもいずれ冷えますし,ふたを開けてチビチビすするという飲み方ができます。
最近では,日常のお出かけ(家族旅行等)にも持っていっています。意外と冬もいけるぞ!?
おわり。
【おまけ】改めてサーモス
今回,比較したサーモスは,「ケータイマグ500cc」というブツですが,同じ500ccなのにDEBOYOに比べるとこんなにスリム。
右がライバル(?),サーモスの500ccマグボトル。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D左がサーモス。間口の狭さが保温能力にも貢献している!?
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2Dお値段も安いし,飲み口やゴムパッキンなどの消耗品も充実。
片手で開けて,飲み口で冷やしながら飲むこともできる(それでも火傷するときあるけど)。
本来はオフィスなどの室内目的で開発されたみたいだけど,アウトドアはもちろん,自転車用でもどんどん使えます。こっちの記事にしたほうがよかったか!?
- 【2014.1.23追記】
- なんだかんだ言って,冬場も使い続けています。ケージにサイズがぴったりしている便利さと,熱湯でも,ふたを開けて「すする」ことができるのは,意外と便利です。
- ■「ボトル」カテゴリー内の前後記事
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- 1件新しい記事:ボトル特集 2014夏
- 1件古い記事 :夏の給水事情2011(その3:ボトル運用の悩み・・・)